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刑事責任能力

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2007年4月26日

2007年5月25日10時40分ころ、JR横浜駅東口の地下街「ポルタ」で、女性(29)に、女児(2)が、果物ナイフで背中を刺されたそうです。重傷ですが、命に別状はないそうです。

女児は、母親らと地下街の噴水を見ているところで女に襲われ、後ろから突然、奈々ちゃんを抱きかかえ、いきなり果物ナイフを取り出し、無言で背中の右側を1回刺したとのこと。

目撃者によると「女は焦点の定まらない危険な目つきをしてブルブルけいれんしていた。意識がないように見えた」と証言しています。

「人に狙われている」「自分の前を裸の子供が歩いていた」「子どもに手をかまれてしまうと思い、自分を守るためにやった」などと意味不明の供述をしており、警察では、刑事責任能力に問題がある可能性を視野に入れて捜査しているとのことです。

このような場合、刑事事件になると、弁護人から心神喪失の主張が出されることが多く、社会的に批判されることも多いようです。

刑法第39条1項は「心神喪失者の行為は、罰しない。」、2項は「心神耕弱者の行為は、その刑を減軽する。」と既定しています。この規定が根拠です。

判例によると、「心神喪失とは、精神の障害により事物の理非善悪を弁別する能力またはその弁別に従って行動する能力のない状態をいい、心神耕弱とは、精神の障害がまだこのような能力を欠如する程度には達しないが、その能力の著しく減退した状態をいう。」とされています。

心神を喪失した者に刑罰を科すことが良いのかどうか、という議論があります。

刑法学者達は、なぜ心神喪失だと刑罰を免れるのか、という点について議論をしています。一つの立場は、罪を犯した者が刑罰を受けるのは、自由意思を持つ者が、その自由意思に基づいて罪を犯したのであるから、その行為の責任は取るべきだ、という道義的責任論の立場から、心神喪失の場合には、そのような自由意思はないため、責任を問えないのだ、と論じます。

もう一つの立場は、罪を犯した者が刑罰を受けるのは、社会にとって危険な者は、社会の防衛手段としての刑罰を甘受しなければならないから、刑罰を受けるのである、という社会的責任論の立場から、心神喪失の場合は、刑罰に適応しうる能力が欠けるために責任を問えないのだ、と論じたりします。

刑法を学ばない人にとっては違和感のある議論であると思いますが、刑法にこの規定がある限り、弁護人としては、今後も心神喪失や心神耗弱を主張し続けることになるでしょう。

立法者は、どう考えるでしょうか。

評決のとき
39-刑法第三十九条-


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