福岡山の上ホテル民事再生法 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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福岡山の上ホテル民事再生法

2006年11月03日

福岡の老舗ホテル「福岡山の上ホテル」が債務超過で、債権者のオリックス債権回収(東京)から2006年10月30日付けで、福岡地裁に民事再生申立を受けたとのことです。

民事再生法は、ほとんどが債務者が自分で申立をしますので、債権者から申し立てられるのは、珍しいケースです。オリックス側は「透明性を確保した上で経営再建を促したい」と説明しているとのこと。これに対し同ホテルは、営業を継続した上で、役員の受け入れや株式譲渡などを柱とした和解案を申し入れ、オリックス側に申請の取り下げを求めているそうです。

ホテルの土地、建物は、抵当権者だったメーンバンクの親和銀行(長崎県佐世保市)の申し立てで、9月19日に同地裁から競売開始決定を受けており、手続きが進行中だそうです。オリックス債権回収は同25日に、親和銀行から債権譲渡を受け、今回の民事再生申立に至ったとのことです。

ニュース

ホテルの土地、建物は、すでに競売手続に入っていますが、競売でホテルが第三者の手に渡った場合、ホテルの営業は完全に打ち切られて、しばらく閉めた上で、買受人がはじめから営業をスタートする可能性が高いでしょう。

そうなると、オリックスとしては、土地建物の競売代金しか債権回収ができません。しかし、民事再生手続に持ち込むことにより、土地建物の任意での売却とともにホテル営業を売却できれば、土地建物代金の他に、ホテルの営業譲渡代金を回収できるという目論見でしょう。

そうすれば、ホテルを一旦閉鎖することもなく、混乱なく営業を継続することができます。

ホテル側の和解案は、当然のことながら、現経営陣が経営権を保全した上での案になっているものと思われますが、ホテルの経営難の場合、抜本的な改革を行っていかなければ、経営の立て直しは難しいものと思われます。

おそらくオリックス債権回収側では、現在の和解案は蹴ると思われます。

老舗ホテルということですから、再生してくれると嬉しいと思います。

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