危険運転致死傷罪からの訴因追加的変更 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
メニュー
みらい総合法律事務所
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。

危険運転致死傷罪からの訴因追加的変更

2007年11月18日

2006年8月に、福岡県福岡市で起こった悲惨な交通事故の公判がありました。

幼児3人が乗ったRV車が、飲酒運転の車に追突され、海に転落して死亡した事故です。

福岡地裁は、18日午前、検察側に業務上過失致死傷(前方不注視)と道交法違反(酒気帯び運転)の罪を予備的訴因として追加するよう命じたそうです。

検察側は、本件につき、危険運転過失致死傷罪の適用を主張。25年の求刑をしています。弁護側は、業務上過失致死傷罪を主張し、執行猶予判決を求めています。

今回は、検察側の主張する危険運転過失致死傷罪を第一弾の主張とし、これが認められないときのために予備的に業務上過失致死傷罪を加えておく、というものです。

この追加をしておかないと、裁判所が「危険運転ではない」と判断したときに、被告人が無罪となってしまうからです。

危険運転過失致死傷罪は、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させたことが必要ですが、この点に関する検察側の立証が不十分だという判断でしょうか。

検察側としては、悔しいでしょう。しかし、今後も危険運転過失致死傷罪の適用があると思われる事案では、その適用を主張してゆくべきでしょう。その事例の集積の中でしか、危険運転過失致死傷罪と自動車運転過失致死傷罪の境界線は見えてこないからです。

実刑判決が出るとは思いますが、判決では、大幅な減刑になると思われます。

そのような判決が出た場合、検察側は、控訴すると思われます。

今後も見守っていきたいと思います。

[弁護士がきちんと教える] 交通事故 示談と慰謝料増額 (暮らしの法律 1)