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割りばし事件判決

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2008年2月13日

平成11年に、当時4歳の少年ののどに割りばしが刺さって、その後死亡した事件に関し、幼児の両親が、当時診察した医師と病院に対し、医療過誤を理由として、約9000万円の損害賠償を求めた事件について、東京地裁は、2008年2月12日に、「診察に過失はなかった」として両親の訴えを棄却する判決を出しました。両親は控訴する方針。

刑事事件では、業務上過失致死罪で起訴。1審東京地裁は2006年3月、過失を認める一方、延命可能性を認めず無罪としました。民事では、この過失すら認めませんでした。

民事事件で過失が認められなかった理由について、報道によると、次のとおり。

1 これまでに報告のない症例
2 神経障害などの症状が見られなかった
3 折れた割りばし片が口の中で確認困難だった

よって、当時の医療水準や受傷状況から、割りばしが脳を損傷させた可能性は診断できなかったとのことです。

民事損害賠償において、医師の過失が認められるためには、診察当時の医療水準において、割りばしが脳を損傷させることを予見できたかどうかが必要となります。

自動車の事故の場合には、通常の運転者として事故が予見できたかどうかが問われます。したがって、青信号を直進していて、信号無視の車にぶつかっても、過失を問われることがありません。

医師の場合には、専門家であることから、高度の注意義務が課されます。しかし、その義務は無限ではなく、医療水準を限度とします。法は不可能を強いるものではないので、医療水準を満たしていれば、過失はなくなるのは当然です。

今回は、幼児の死という悲惨な結果が生じてしまっており、その責任をどこかに求めています。だからといって、誰かが必ず責任を取らなければならないわけではないし、また、医療過誤訴訟の立証が難しいという結論にもなりません。

ご両親は控訴するということですので、控訴審を見守りたいと思います。

断罪された「医療事故隠し」―都立広尾病院「医療過誤」事件

 


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