東京を脱出するかどうか? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
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東京を脱出するかどうか?

2011年04月15日

ある村を盗賊の小集団が馬に乗って襲ってきた。

村人には、男衆だけでなく、女子供もいた。

村人達は逃げ惑い、大混乱に陥った。

盗賊は、下調べだったらしく、村の中を物色して回るだけで、引き揚げていった。

この後、盗賊の大集団での襲撃が予想された。

村人の中の何組かの家族は、自分たちの身の安全を守るため、村を脱出し、他の村に避難した。

他の村人達の中には、本当は逃げたかったが、畑仕事や他の仕事があったりし、村にとどまらざるを得ない者がいた。

村を脱出できる人でも、「どうせ人は死ぬ。村が消えてなくなるなら、皆と一緒に死んだ方がいい」と言って、村に残ろうとする者もいた。

また、ある者は、「どうせ盗賊なんて来ないよ」と楽観視して、村に残った。

村人達は、村長に対し、

「盗賊が襲ってきます。村が壊滅するかもしれません。逃げてください。盗賊が去った後、また村を再建してください」

と進言した。

しかし、村長は首を横に振り、厳かに言った。

「私は村長です。村の皆の安全を守る責任があります。もし、私が村から逃げるとすれば、それは、最後の村人が村から出た後です。それまでは、村にとどまります」

その後も、盗賊の小集団は、何度か村にやってきては、村人達を脅かして行った。

村人達は、いつ盗賊の大集団が襲撃してくるかもしれないと、不安な日々を送っていた。

しかし、結局盗賊が村を襲撃することはなかった。

その後、村から脱出した家族が村の安全を確認し、村に帰ってきた。

しかし、村人達は、脱出組の家族に対しては冷たい態度を取った。

「逃げ出した奴は、もう戻ってくるな!」

と罵声を浴びせた。

いざという時、自分たちのことしか考えていないような人は、また何かあると、他人の犠牲のもとに自分たちだけを守ろうとする態度に出るだろうとの考えから、親しく付き合うことはできない、と思ったのだ。

もちろん、脱出組にも言い分はあった。

「自分にとって最も大切なのは、自分と家族だ。それを守って何が悪い。死んでしまったら、おしまいじゃないか」

しかし、結局村人達は許してくれず、脱出組の家族達は、村を出ざるを得なくなってしまった。

今回の震災に際し、関東地方の居住地を脱出する人もいれば、残る人もいます。

それぞれの人がそれぞれの考え方で、自分の取る道を選択しています。

良い、悪い、という判断はできないでしょう。

ちなみに私は東京に残っていますし、脱出するつもりもありません。

あなたは、どう考え、どう選択しますか?