東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士24人が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は約30冊あります。
TV出演、取材、執筆、研修、セミナー講師を受け付けていますので、ご連絡ください。
会話を制する質問力
ブログ内検索

弁護士法律解説 リーガルアイ

 

客引きは、飲食店の経営者も摘発対象になります。

 >客引きは、飲食店の経営者も摘発対象になります。

2017年7月11日

キャバクラなどでない一般の飲食店の客引き行為で、経営者が書類送検されたという事件が起きたので解説します。

「六本木「赤ケバブ」店で執拗な客引き 風営法違反容疑 33歳トルコ人経営者を書類送検 「青ケバブ」店と競争激化」(2017年7月10日 産経新聞)

「「ケバブ食べよう」と客引き、トルコ人の兄弟を逮捕 六本木」(2017年6月21日 産経新聞)

執拗な客引き行為をしたとして、警視庁麻布署が東京・六本木のケバブ店を経営するトルコ国籍の男(33)を書類送検していたことが捜査関係者への取材でわかったということです。
容疑は風営法違反です。

事件の経緯をまとめます。

・現場は六本木の繁華街の中心部で、周辺では以前からトルコレストランの悪質な客引きが問題となっていた。

・看板の色から、通称「赤ケバブ」と呼ばれる2店はクルド系トルコ人が経営する店。
その2店の間に、トルコ人が経営する通称「青ケバブ」と呼ばれる店があり、客引き競争が過熱していた。

・事件が起きたのは、今年(2017年)5月11日~6月3日。
赤ケバブ店の従業員のトルコ人兄弟(24歳と20歳)が、「ケバブ食べよう」などと言い、路上で通行人の前に立ちふさがったり抱きついたりして執拗に客引きした。

・警視庁麻布署は6月21日、2人を風営法違反(客引き行為)の疑いで逮捕。
レストランの客引き行為を風営法で摘発するのは警視庁で初となった。

・その後、同署は容疑者の兄弟の兄で、2人が働いていたケバブ店の経営者の男(トルコ国籍の33歳)を風営法違反容疑で書類送検。
キャバクラやガールズバーなどではない一般的な飲食店の客引き行為に同法違反容疑を適用し、経営者を摘発するのは全国初となった。

 

居酒屋や飲食店などの悪質な客引き行為については、通常の場合「迷惑防止条例」が適用されますが、今回は風営法違反での立件となっています。
それはなぜか? というのが今回の事件のポイントになります。

まずは、迷惑防止条例から見ていきます。

迷惑防止条例は、公衆に対する迷惑行為や暴力行為などを防止し、生活の安全と秩序を維持することを目的としており、現在では全国の47都道府県すべてで制定されています。

東京都の迷惑防止条例は、正式名称を「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」といい、全部で9条からなる条例です。

その中から今回の事件に関係する条文を見てみます。

「東京都迷惑防止条例」
第7条(不当な客引行為等の禁止)
1.何人も、公共の場所において、不特定の者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

四 前三号に掲げるもののほか、人の身体又は衣服をとらえ、所持品を取りあげ、進路に立ちふさがり、身辺につきまとう等執ように客引きをすること。

 

前三号とは次のようなものです。
・わいせつな見せ物、物品、行為などの販売、提供のための客引き等。
・売春類似行為をするための客引き等。
・異性による接待をして酒類をともなう飲食をさせる行為のための客引き等。

これらに違反した場合、50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処されます。

次に、「風営法」について見ていきます。

風営法は正式名称を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」といい、酒類提供飲食店営業の許可を受けた店を除いて、営業場所や青少年(18歳未満)の立ち入りを規制することにより、風俗業務の適正化を図ることを目的としています。

今回の事件に該当するのは次の条文です。

「風営法」
第22条(禁止行為等)
1.風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。

一 当該営業に関し客引きをすること。
二 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。

 

これに違反した場合は、6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処され、又はこれを併科となります。(第52条)

風営法というと、いわゆる性風俗店や、キャバクラ、ガールズバー、ホストクラブなどのような客を接待してお酒を飲ませるお店に関する法律というイメージを持っている人が多いと思いますが、じつはバーや居酒屋、飲食店にも適用されます。

これまでは、迷惑防止条例で対処していました。風営法では、「営業者」が客引きをしたと認定できなければならないのですが、その立証が簡単ではないので、とりあえず客引きという外形的行為をとらえ、迷惑防止条例で対処していた、ということでしょう。

しかし、今回は、客引き行為が悪質であったこと、店の経営者が客引きを行わせていたことの立証が可能だと判断されたこと、また今後は規制を強化していくために店側(経営者など)も摘発の対象としたと考えられます。

訪日外国人の増加や、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催も関係しているのかもしれません。

とにかく、今後は飲食店などの客引きに関しては、従業員だけでなく経営者や店長も逮捕、書類送検の対象になる可能性があることは覚えておいた方がいいでしょう。

同じテーマの最新記事
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所



Copyright© 2013 弁護士谷原誠のブログ All Rights Reserved.