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労働基準法違反で会社だけでなく部長と店長も書類送検!

 >労働基準法違反で会社だけでなく部長と店長も書類送検!

2016年10月4日

ある大手飲食チェーンで、労働基準法違反のため、部長と店長までが書類送検されたという報道がありました。

主な違反は、違法な時間外労働と残業代の未払い、さらに36協定の不備ということです。

「“すし半”のサト、違法残業月111時間 容疑で書類送検 大阪労働局」(2016年9月29日 産経新聞)

大阪労働局は、飲食チェーン大手のサトレストランシステムズ(大阪市中央区、東証1部、「和食さと」、「さん天」、「すし半」などを展開)が、従業員に違法な時間外労働をさせ、残業代の一部を支払わなかったとして、法人としての同社と、「さん天」事業推進部長、店長4人を労働基準法違反の疑いで書類送検しました。

報道によると、2015(平成27)年、本社と大阪府内の「すし半」、「和食さと」計4店で、従業員7人に対し最長で1ヵ月に111時間の時間外労働をさせ、そのうち2店では3人に割増賃金の一部(計約30万円)を所定支払日に支給しなかった容疑としています。

また、時間外労働の限度(1ヵ月に40時間)に関する労使協定(36協定)を店舗ごとに結んで労働基準監督署に届け出ていたが、労働者代表の選出に不備があり、有効な協定として認められていなかったようです。

同社は調査委員会を設置し、全店舗で未払い賃金を精査。
延べ653人に、2014(平成26)年~2015(平成27)年分の未払い賃金、計約4億円を支払ったということです。
「労働基準法」は、労働者の労働契約や労働時間、休日、賃金、安全などの労働条件の最低基準について規定しています。
労働者と使用者の双方が守るべき重要な法律なのですが、違反事例が後を絶たないのが現状です。

労働基準法では、1週40時間、1日8時間しか労働者を働かせてはいけないことになっており、それ以上働かせた場合は、割増賃金を支払わなければなりません。

時間外労働をさせて割増賃金(残業代)を支払わなかった場合、6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます。
・「36協定」(第36条)
会社は、過半数組合または過半数代表者との書面による労使協定を締結
し、かつ行政官庁にこれを届けることにより、その協定の定めに従い労働
者に時間外休日労働をさせることができます。
第36条に規定されているため、これを36協定といいます。

届け出をしないで時間外労働をさせた場合、労働基準法違反で6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます。

なお、現行では労使が36協定を結んだ場合の残業時間の上限は、厚生労働相の告示により「1ヵ月45時間」という基準が定められていますが、例外規定があり、「特別の事情」について労使の合意があれば上限を守らなくてもよい、ということになっています。
今回のケースでは、36協定により1ヵ月に40時間の残業と決めていたにもかかわらず、中には111時間も残業をさせていた従業員がおり、しかもその協定自体に不備があり、おまけに残業代もきちんと支払っていなかったわけですから、労働基準法違反を指摘されるのは当然でしょう。

しかし、労働基準法違反で法人としての会社が書類送検される事例はよくありますが、部長と店長までが書類送検されるというのは、過去の事例から見ても珍しいケースといえます。

ではなぜ、そうした結果になったのかといえば、違反行為が悪質だったからだと思われます。

別の報道によれば、大阪労働局はこれまでも複数の店舗に対して労務管理を改めるように指導してきたにもかかわらず改善が見られなかったため、2015年12月に強制捜査に踏み切り、実態の把握を進めていたとしています。

また、違法な残業は過労死の問題にもつながる可能性があります。
厚生労働省が通達している「過労死ライン」では、1ヵ月の残業時間が80時間を超えると過労死のリスクが高まるとされています。

さらに、過労死の労災認定基準としては、脳血管疾患及び虚血性心疾患等について、「発症前1ヵ月間におおむね100時間又は発症前2ヵ月間ないし6ヵ月間にわたって、1ヵ月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる」とされていることからも、会社の行為は従業員の過労死につながりかねない悪質なものと判断されたのだと思います。
ところで、こうした未払い残業代について、労働者である従業員の方は会社を相手に民事で訴訟を起こすことができます。

訴えが認められれば、従業員の方は、本来手にするべき残業代を受取ることができます。

同時に、会社(使用者)としては次の3つを支払わなければいけません。

①「未払い残業代の支払い」
認定された残業代の未払い分の全額を支払わなければいけません。

②「付加金の支払い」
裁判所が必要と認めた場合、未払い残業代と同額を上限とした付加金を支払わなければいけません。
会社側の違反が悪質な場合などでは、全額が認められるケースも多くあります。

③「遅延損害金の支払い」
未払い残業代と付加金には利息がつきますが、これを「遅延損害金」といいます。
利息の利率は、社員(労働者)が在職中であれば6%、退職している場合は14.6%と2倍以上になります。
今回のケースでは、会社のこうした支払い金のトータルが約4億円にものぼったということです。

場合によっては、会社は未払い残業代の2倍以上の金額を従業員に支払わなければいけません。
さらに、複数の従業員ともなれば、これは大変な金額になってしまいます。
体力の乏しい会社などは、会社存亡の危機に陥ってしまいかねない事態でしょう。

そうした危機に陥らないためにも、「悪しき慣例」として長時間労働が当然とはならないよう、会社と経営陣には法律を遵守した経営が求められます。

また万が一、残業代の未払いがある従業員の方は泣き寝入りする必要はありません。
弁護士に相談するなどして、適正な残業代を受取るべきだと思います。

未払い残業代に関する相談は、こちらから⇒ http://roudou-sos.jp/zangyou2/
労働災害に関する相談は、こちらから⇒http://www.rousai-sos.jp/

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