18歳未満の児童に対するみだらな行為 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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18歳未満の児童に対するみだらな行為

2016年08月31日

古代ギリシャの哲学者・ソクラテスの言葉に、「無知の知」というものがあります。

賢い者ほど自分が無知であることを知っている、という意味だといわれています。

しかし、「知らなかった…」では済まないのが法律の世界です。

知っていても、知らなくても、法に違反すれば犯罪者になってしまう可能性があります。

「女子高生にわいせつ“性行為以外は犯罪だと思わなかった”44歳男逮捕 堺」(2016年8月29日 産経新聞)

京都府警下京署は、18歳未満の女子高校生とみだらな行為をしたとして、堺市に住む会社員の男(44)を、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童買春)の疑いで逮捕しました。

事件が起きたのは、2016年5月30日午後4時40分頃。

容疑者の男は、京都府内のホームセンターの駐車場に停めた車の中で、ツイッターを通じて知り合った京都市内の高校1年の女子生徒(15)に現金1万5千円を渡し、みだらな行為をしたということです。

京都府警少年課の捜査員が、身分を隠して女子生徒と待ち合わせて指導する「サイバー補導」で、女子生徒を補導して事件が発覚。

男は、「性行為以外は犯罪だと思わなかった」と容疑を否認しているということです。
「児童買春・児童ポルノ禁止法」は、正式名称を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」といいます。

2014年の法改正により施行されたもので、子供を守るために以前よりも児童ポルノの定義が厳密化されていますが、自分の性的好奇心を満たすための単純所持や、実在しない児童のポルノの問題などの検討課題もあります。

では、条文を見てみましょう。

第2条(定義)
1.この法律において「児童」とは、18歳に満たない者をいう。

2.この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童

この部分をまとめると次のようになります。

◆児童とは18歳未満の子供
◆児童買春の対象となるのは、
①性交、
②性交類似行為、
③児童の性器を触る行為、
④児童に自分の性器を触らせる行為
◆児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する(第4条)

18歳未満の児童と性交した場合に犯罪になることを知っている人は多いと思います。

しかし、それだけではありません。

今回の事件の容疑者がどのような行為をしたのか、報道からはわかりませんが、児童に対して性交以外のみだらな行為をしても犯罪になるということは、この機会にしっかり憶えてほしいと思います。

裁判所で、「そんな法律は知らなかった」という抗弁は通用しません。

法律に関しては、「無知の知」ではなく、「無知の罪」となることを憶えておきましょう。