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「ポケモンGO」のチートツールによる法律違反にご用心

 >「ポケモンGO」のチートツールによる法律違反にご用心

2016年8月23日

話題のスマホ向けARゲーム「ポケモンGO」で、また新たな法律違反が指摘されているようです。

今回は、「ずるい行為」だそうです。

「ポケモンGOでも登場「ずる」する道具、使うと罪?」(2016年8月18日 朝日新聞デジタル)

今年、人気のオンラインゲーム「パズル&ドラゴン」(パズドラ)で検挙という事件が相次ぎました。
問題になったのは、「チートツール」(CT)です。

神奈川県警は今年の6月15日、チートツールを作成し、無償で配布したとして広島市の大学3年生(21)を著作権法違反の疑いで逮捕。
また、チートツールを乱用してゲームメーカーの業務を妨害したとして、男4人を偽計業務妨害の疑いで書類送検した、とのことです。

チートツールとは、ゲーム攻略のために「ずるをする道具」のことで、早速、「ポケモンGO」でも登場しているようです。

「ポケモンGO」は、スマホのGPS機能による現在地情報を使ってポケモンを捕まえるゲームですが、チートツールでGPSのデータを改変することで家にいながら世界中のポケモンを捕まえられるようにするために、ゲームメーカーが提供しているポケモンを捕まえやすくする有料アイテムを購入する必要がなくなってしまうということです。

こうした事態を受け、神奈川県警は、「1回のチート行為でも罪に問われる可能性がある。絶対に手を出さないで」と呼び掛けているということです。

「パズドラ」は、パズルで対戦しながら自分のモンスターを育てる無料のゲームで、120円前後のアイテムを購入すれば、より早く、強くなれるそうです。
ところが、容疑者が作成したチートツールを使うことで一気に無敵状態にすることができるため、40万回以上もダウンロードされていたようです。

報道によれば、チートツールを使われることで、課金の機会が失われ、またランキングで競っているゲームプレーヤーの間で不公平感が生まれることで、ユーザーのゲーム離れを起こしかねないため、ゲームメーカーは深刻な被害を受けているとしています。

ゲームメーカーとしては、これまで何度も対策を講じてきたようですが、その度にさらに改良して、技術を誇示するチートツール制作者がいるために、いたちごっこ状態が続いているということです。
また、警察はサイバーパトロールを行っていますが、チートツールはゲーム上の問題のため、発覚しにくいという特徴があるようです。

そのため、神奈川県警は取り締まりについて慎重に検討をした結果、メーカーの防御プログラムをかいくぐるプログラムを開発、配布したとしてチートツール作成者を著作権法違反容疑で逮捕。
乱用に歯止めがかかっていないことから、使用者を偽計業務妨害罪書類送検したとうことです。

報道では、「偽計業務妨害罪」となっておりますが、むしろ、「電子計算機損壊等業務妨害罪」の方ではないか、という気がします。

では、この問題を法的に見てみましょう。

「刑法」
第233条(信用毀損及び業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
偽計業務妨害罪とは、真実ではないウソやデマを不特定多数の人に広めたり、偽計=だますことで人の信用を損なったり、人の業務を妨害する罪です。

234条の2(電子計算機損壊等業務妨害罪)
人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

容疑者らは、正規のアイテムではない偽のチートツールを用いて、ゲームを誤作動させ、ゲーム制作会社の業務を妨害したということになるのだと思います。

次に、著作権法について見てみます。

第120条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  技術的保護手段の回避を行うことをその機能とする装置(当該装置の部品一式であつて容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは技術的保護手段の回避を行うことをその機能とするプログラムの複製物を公衆に譲渡し、若しくは貸与し、公衆への譲渡若しくは貸与の目的をもつて製造し、輸入し、若しくは所持し、若しくは公衆の使用に供し、又は当該プログラムを公衆送信し、若しくは送信可能化する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあつては、著作権等を侵害する行為を技術的保護手段の回避により可能とする用途に供するために行うものに限る。)をした者

今回の報道では、著作権法のどの違反か、については書かれていませんが、おそらくは、この規定が適用されたのではないか、と思います。

少し難しいので、説明は割愛しますが、チートツールを作る行為は、著作権法違反になる可能性がある、ということです。

そして、憶えておかなければならないことは、チートツールを「使うだけの人」にも、犯罪が成立する可能性があることは、しっかりと認識しておかなければなりません。

ポケモンGOが流行しており、チートツールがあると、飛びついてしまう未成年者も多いのではないでしょうか。

子供を持つ親は、しっかりとお子さんに教え込んでおきましょう。

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