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賃貸人が勝手に貸室の鍵を取り替え得るのは違法です

 >賃貸人が勝手に貸室の鍵を取り替え得るのは違法です

2016年4月16日

街に出てみると、今年の新入社員らしき若者たちが、まだ着慣れないスーツに身を包んで歩いている姿を見かけます。

4月は新しい生活の始まり、不安と期待を抱えてのスタートでしょう。

ところで、年度の初めには住まいを変えて引っ越しをする人も多いと思いますが、部屋を借りる際に求められるものに「連帯保証人」があります。

たとえば、部屋の賃借人が家賃滞納などで賃料を払わない場合、貸主である大家さんは賃貸借契約における連帯保証人に対して請求することができます。
連帯保証人は、原則として賃借人の債務についての責任を負うことになるからです。

今回は、家賃滞納と連帯保証に関するトラブルについて解説します。

「追い出し行為に賠償命令 家賃滞納で家財処分は“窃盗罪” 東京地裁」(2016年4月13日 産経新聞)

東京都の40代男性が、家賃滞納を理由に玄関ドアに錠を取り付けて入れなくするなどしたのは不当な「追い出し行為」だとして、山口県岩国市の家賃保証会社に330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があり、東京地裁は同社に55万円の支払いを命じました。

男性は平成21年1月、同社を連帯保証人として神奈川県海老名市のアパートに入居。
仕事を辞め、昨年3、4月の家賃計8万円を滞納したところ、同社は錠を取り付けたうえ、家財を無断で処分。
男性は9日間、公園やファストフード店で過ごすことになったようです。

裁判では、同社のこれらの行為は窃盗罪や器物損壊罪にあたると指摘。
処分された家財の損害を30万円と算定し、ホームレス状態を強いられた慰謝料20万円など計55万円の賠償を命じたということです。
家賃保証会社とは、賃貸契約時に連帯保証人を用意できない人でも部屋を借りられるように賃借人の連帯保証人を代行するもので、家賃滞納などの債務不履行をした場合に賃借人の代わりに支払いの代行(代位弁済)もするという仕組みになっています。

賃借人だけでなく、貸主にとっても家賃不払いリスクを軽減できるというメリットがあります。

しかし、一方で家賃滞納や夜逃げなども後を絶たないことから、保証人がいる場合でも保証会社との契約を二重に要求する賃貸人があったり、中には保証契約時に家賃の3~10割を支払わなければいけないケースもあるようで賃借人側のデメリットも指摘されているようです。

また近年では、いわゆる「ゼロゼロ物件」と呼ばれる敷金と礼金を支払わなくていい物件の入居者などに対して、今回のケースのように追い出し行為をする「追い出し屋」と呼ばれる業者の存在が問題ともなっているようです。

以前から、家賃の滞納、不払いは多くの貸主が抱える頭の痛い問題のひとつでした。

賃貸物件の明け渡しを求めるために、内容証明による契約解除通知や裁判の申立てをしている間にも滞納賃料は積み重なり、結局、貸主が滞納賃料の回収ができないというケースも多くあります。

しかし、だからといって今回のケースのように法律に定められた手続きをせずに追い出し行為のような実力行使をしてしまうと、民事で損害賠償請求されたり、刑事告訴をされたりという可能性があります。

たとえば、賃借人の留守中に合鍵で部屋の中に入り家具などの家財を持ち出して処分すれば「住居侵入罪」や「窃盗罪」(第235条)、「器物損壊罪」(第261条)、家賃の強引な取り立てや退去するよう脅しをかければ「脅迫罪」(第222条)や「強要罪」(第223条)、「恐喝罪」(第249条)になる可能性があります。

また、このような追い出し行為は「自力救済」といい、民法では例外を除き禁止されています。

もちろん、家賃を滞納している借主が悪いのは当然なのですが、同時に民法では賃借人には借り家や部屋を占有して使用収益をする権利を認めています。

その占有を妨害されたり、奪われたりした場合、占有者である賃借人は妨害を阻止する、占有を回復する、損害賠償請求することが認められているのです。
これを、「占有訴権」といいます。

仮に貸主Aが建物の管理を管理会社Bに委託していて、この会社が家賃を滞納している賃借人Cに対して追い出し行為をした場合、CはBだけでなくAも訴えることができます。

判例では、貸主が管理会社とともに不法行為責任を負うとされ、賃借人の損害賠償請求を認めたものもあります。

権利を有する者が、その権利を侵害された場合、司法手続きによらず自ら実力行使によって権利の回復を行うことは法律上できないのです。

では、法的にはどのような手続きをとる必要があるのでしょうか。

時間と費用がかかってしまいますが、法律上、貸主としては次のような段取りをとらなければいけません。

1.家賃滞納者に対して滞納分の賃料の支払いを催告
2.契約解除して明け渡しを通告
3.賃借人が応じない場合は訴訟の申立て
4.明け渡し訴訟で勝訴判決を得たり、和解をしたりする
5.判決や和解内容に従わない場合は強制執行で強制的に追い出す

なお、賃借人が居留守を使うケースもあります。

この場合、賃借人が部屋にいても、いなくても、貸主が合鍵で室内に入る際に、契約書に特約として「賃借人が1ヵ月以上留守にする場合は大家に連絡をしなければいけない。連絡がない場合、または連絡がつかない場合、貸主は賃借人の承諾なしに合鍵で入室できる」という条項を入れている大家さんもいると思います。

この場合、法律的に認められるかといえば、限定的であると言わざるを得ません。

仮に、行方不明になってしまい、貸室内での事故が疑われるため、賃借人の部屋に入る必要がある場合は、一人では入らず、賃借人の保証人か緊急連絡先に記入されている親族、警察官などに連絡をして、立ち会ってもらうのがいいでしょう。

いずれにせよ、不動産賃貸のトラブルは貸す側も借りる側も双方にとって損なことばかりで、得なことはありません。
日常生活を気持ちよく過ごすためには、双方ともルールと法律を守って対処してほしいと思います。

それでも、万が一トラブルが発生した場合は、弁護士などの専門家に相談して早急な手当てをすることをお勧めします。

ご相談はこちらから⇒ http://www.bengoshi-sos.com/real-estate/

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