自転車でも飲酒運転は禁止です | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
メニュー
みらい総合法律事務所
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。

自転車でも飲酒運転は禁止です

2015年06月05日

仕事帰りに一杯飲んで、ほろ酔いで駅から自転車に乗って家に帰っただけ…では済まない時代になったようです。

「自転車を酒酔い運転、道交法違反容疑で書類送検」(2015年6月2日 読売新聞)

京都府警中京署は、酒に酔って自転車に乗ったなどとして、京都市中京区のホテル従業員の男(52)を道路交通法違反の容疑で書類送検しました。

男は3月31日夜、同区の市道で酒に酔った状態で自転車を走らせたところ、女性(35)が乗る自転車と接触したことで飲酒運転が発覚。
女性にケガはなかったようですが、付近の防犯カメラには男が蛇行運転する姿が映っており、調べに対して「自宅で飲酒後、飲食店で焼酎を飲んだ」と供述しているとのことです。

府警が統計を取り始めた2010年以降、自転車の酒酔い運転の摘発は初めてのことで、同署は起訴を求める「厳重処分」の意見をつけたということです。
自転車の飲酒運転が犯罪!? と思った人もいるかもしれませんが、じつは「道路交通法」にはしっかりと規定されています。

「道路交通法」
第65条(酒気帯び運転等の禁止)
1.何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
第117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

1.第65条第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。)にあったもの。
道路交通法では、自転車は「軽車両」という車両の一種であるため、65条が適用されるわけです。

たかが自転車、では済まされないということです。

ところで6月1日に、「改正道路交通法」が施行されました。

これは、重大な事故につながりかねない自転車による「危険行為」を繰り返した運転者に安全講習の受講を義務づけるもので、これまで自転車の悪質運転が問題視されてきたことから改正されたものです。

詳しい解説はこちら⇒「自転車の危険運転に安全講習義務づけに」
https://taniharamakoto.com/archives/1854

改正法では、次の14の項目を危険行為に規定しています。
・信号無視
・酒酔い運転
・通行禁止違反
・歩行者専用道路での徐行違反
・一時停止違反
・通行区分違反
・歩道での歩行者妨害
・路側帯の歩行者妨害
・交差点での右折車優先妨害
・遮断機が下りた踏切への立ち入り
・交差点での優先道路通行車の妨害
・環状交差点での安全進行義務違反
・ブレーキなし自転車の運転
・携帯電話を使用しながら運転するなどの安全運転義務違反

これらの危険行為をした14歳以上の運転者は、まず警察官から指導・警告を受け、交通違反切符を交付されますが、3年以内に2回以上の交付で安全講習の対象となり、受講しないと5万円以下の罰金が科せられることになります。

今回の事案については、発生したのは3月ですが、飲酒運転に蛇行運転で、さらに相手にぶつかっていることで悪質であることと、改正道路交通法が施行されたこともあって、京都府警初の飲酒自転車運転の摘発になったということでしょう。

さて、14の危険行為…どうでしょう、バレなければ平気と思ってやっている人、違反だと知らずにやっている人さまざまいると思いますが、この機会に交通ルールと法律を学んで違反のないように自転車を利用してください。

仮に、今回のように書類送検の後に起訴され、有罪判決となれば前科一犯となってしまいます。

今後は、仕事帰りにお酒を飲んで帰るときなど十分注意していただきたいと思います。