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2倍!2倍!未払い残業代の付加金とは?

 >2倍!2倍!未払い残業代の付加金とは?

2015年2月26日

2015年も、労働トラブルに関する報道が相次いでいます。
今回は、未払い残業代の「付加金」について解説します。

「佐川急便で残業代未払い 付加金も命じる 東京地裁」(2015年2月20日 産経新聞)

佐川急便の元運転手2人が、「残業代の一部が未払いだ」として割増賃金などの支払いを会社に求めた訴訟の判決で、東京地裁は、制裁金に当たる付加金も含め計約215万円の支払いを命じました。

元運転手の2人は、平成21年11月~24年に佐川急便の都内の営業所に勤務。
IDカードで出退勤時刻を管理していたが、「記録上の時間より早く出勤し、遅く帰宅する日もあった」と主張していたようです。

裁判官は、2人が通勤に使っていた高速道路の料金所通過記録と、記録上の出退勤時刻に差があることなどから、「記録上の時間は必ずしも実際の勤務時間を反映していない。営業所の勤務時間の管理が適切ではなかった」と指摘したということです。
【未払い残業代の付加金とは?】
労働に関する法律の中に「労働基準法」があります。
これは、会社が守らなければいけない最低限の労働条件を定めたもので、会社に比べて立場の弱い労働者の保護を図る目的があります。

この中に「法定労働時間」が定められています(第32条)。
会社(使用者)が、社員(労働者)を働かせることができる労働時間は、原則として一週間で40時間、かつ1日8時間(法定労働時間)までというものです。
(※ただし、36協定を締結し、労働基準監督署長に届け出れば、労働者が法定労働時間を超えて働いても労働基準法には違反しません)

この基準以上の時間、つまり法定労働時間外の勤務をさせたとき、会社(使用者)は社員(労働者)に「割増賃金」を支払わなければいけません(第37条)。

割増賃金は、時間外労働(残業)、休日労働、深夜労働などによって発生します。
今回の事案では、元社員が会社に管理され、記録されていた出退勤時間より実際は早く出勤し、遅く帰宅していたとして、その時間分の残業代が認められたわけですが、判決の中に「付加金」というものがありました。

では、この「付加金」とは一体何でしょうか?
条文を見てみましょう。

「労働基準法」
第114条(付加金の支払)
裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第7項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から2年以内にしなければならない。
付加金とは、簡単にいうと違反を犯したことへの制裁金ということになります。

ところで、民事で労働者側が「未払い残業代」による訴訟を起こし、訴えが認められた場合、会社(使用者)が支払うものには次の3つがあります。

①「未払い残業代の支払い」
認定された残業代の未払い分の全額を支払わなければいけません。

②「付加金の支払い」
裁判所が必要と認めた場合、未払い残業代と同額を上限とした付加金を支払わなければいけません。
会社側の違反が悪質な場合などでは、全額が認められるケースも多くあります。

付加金は会社への制裁金という意味合いがあるため、裁判で判決までいったときに初めて付加されます。

また、付加金は違反があったときから2年以内に請求しなければ無効となります。
なお、「労働審判」では付加金はつかないので注意が必要です。

③「遅延損害金の支払い」
未払い残業代と付加金には利息がつきますが、これを「遅延損害金」といいます。

利息の利率は、社員(労働者)が在職中であれば6%、退職している場合は14.6%と2倍以上になります。
人気アニメ『セーラームーン』では、「月に代わっておしおきよ!」の名セリフが有名ですが、未払い残業代で裁判にまで至ってしまった場合、会社(使用者)は法律におしおきされてしまいますから、経営者の方は十分注意してください。

2倍得をするならいいですが、2倍のお金を支払わなければいけない可能性もあるのですから、労働時間に関して経営者の方は、社員の勤務時間の管理をきちんと行い、法律を順守することが大切です。

残業代請求が認められるかどうかは、かなり難しい法律問題となりますので、労働者も、会社も、適切な専門家などに相談をした方がよいでしょう。

労使双方が、お互いを尊重しながら、社員は働きやすい環境で十分能力を発揮することで、会社の業績も上がり、会社も社員もお客さんも得をする、まさに「三方よし」となることを願っています。

未払い残業代の問題のご相談はこちら⇒
http://roudou-sos.jp/

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