医師が警察官を引きずって逮捕!? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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医師が警察官を引きずって逮捕!?

2012年04月21日

医師が、岡山で、27キロオーバーのスピード違反で取り締まりを受けた際、そのまま警察官を26メートル引きずって車を運転し、警察官に1週間のけがを負わせたとのことです。

医師は、当然逮捕されました。

http://www.asahi.com/national/update/0520/OSK201205200103.html

容疑は、3つ。

・最高速度違反(道路交通法) 最高刑懲役6月
・公務執行妨害罪 最高刑懲役3年
・傷害罪 最高刑懲役15年

今回、自動車を運転して人に怪我をさせていますが、「自動車運転過失致死傷罪」は成立しません。

「過失」ではないからです。

医師は、人を引きずったまま車を運転する認識はありました。

人を引きずったまま車を運転すると、怪我をすることは、もちろんわかっていたはずです。

したがって、「傷害」の故意がある、ということになります。

そうすると、「自動車運転過失致死傷罪」よりも重い「傷害罪」が適用される、ということです。

医師は急いでいた、とのことですが、なぜ、こんな危険なことをしたのか!?

きっと気が動転していたのでしょう。

スピード違反だけの取り締まりだったら、前科がなければ起訴されることも通常はありません。

反則金を払って終わりでしょう。

しかし、これだけの罪がついてしまうと、前科は免れません。

ミスを犯した場合、そのミスから逃げようとして行動を起こすと、より重大で深刻な事態に陥ることがあります。

気が動転する場面ではありますが、同時に冷静な判断が求められる場面でもあります。

改めて気をつけたいところです。