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面会交流は成立しない!?

 >面会交流は成立しない!?

2014年8月22日

ことわざに、「子はかすがい」というものがあります。

子供が夫婦の仲をつなぎとめ、縁を保ってくれるという意味です。
「かすがい」とは材木と材木をつなぎとめるために打ち込む、コの字形の大きな釘のことです。

最近では、あまり使われないので若い人には馴染みがないかもしれませんが、落語好きな人ならば、古典落語の人情噺「子は鎹(かすがい)」として有名なので知っている人もいるでしょう。

ところで先日、離婚などで子供に会えない親に関するこんな報道がありました。

「離婚・別居の親:子と面会申請10年で倍 調停4割不成立」(2014年8月18日 毎日新聞)

離婚や長期間の別居で子供に会えない親が、面会を求めて家庭裁判所に調停を求める「面会交流」の申し立てが、昨年初めて1万件を超え、この10年間で倍増。
そのうち調停が成立しない例が約4割あったことが最高裁判所のまとめで分かりました。

厚生労働省の統計では、離婚件数は2004年の27万804件から、2013年には23万1384件まで減少。

一方で、面会交流事件の申立件数は2004年の4556件から、2013年には1万762件にまで増加。

2013年中の申し立てで、調停が成立したのは5632件、不成立は1309件で、申し立ての取り下げなども含めた全終結事件(1万37件)に対する成立率は56%にとどまったということです。

当事者である元夫と元妻の間で面会交流のルールを決められず、家裁に調停を求めるケースは以前からありましたが、2012年4月に施行された改正民法は、夫婦が裁判を経ずに「協議離婚」をした場合は、面会交流と養育費の分担を取り決めると規定し(第766条)、法律で明文化されたことも申し立て増加に拍車をかけているとされています。

一般の人が民法改正をチェックしているとは思えないので、この仮説が正しいかどうかはわかりません。
ではここで、面会交流について簡単に法的に解説しておきましょう。

【面会交流とは】
面会交流とは、離婚後または別居中に子供を養育・監護していない方の親が子供と面会などを行うことです。

まず、父母が面会交流の具体的な内容や方法について話し合いで決めます。
たとえば、その回数、日時、場所などです。
【面会交流での調停・審判】

しかし、話合いがまとまらない場合や話合いができないケースがあります。

その場合は、家庭裁判所に調停または審判の申し立てをして面会交流に関する取り決めを求めることができます。

子供との面会交流は、子供の健全な成長を助けるようなものである必要があります。

そのため、調停手続では子供の年齢、性別、性格、就学の有無、生活のリズム、生活環境などを考えて精神的な負担をかけることのないように十分配慮されます。

そうして、子供の意向を尊重した取決めができるように話合いが進められていきます。
調停は離婚前でも両親が別居中で子供との面会交流についての話合いがまとまらない場合にも利用することができます。

調停でも話合いがまとまらず不成立になった場合には、自動的に審判手続が開始されます。

裁判官が、独自に面会交流の可否や頻度を判断するなどして必要な審理が行われたうえで、結論が示されます。

ところが、話し合いや調停・審判で面会交流の頻度や方法が決められたとしても、実際には、そのとおり面会交流させない、という事態も発生しています。

調停で、なかなか合意に至らないケースが4割以上もあることから、親同士、男と女の感情的対立が大きな原因であることがわかります。

相手への不信の根深かさが、子供との面会交流を妨げている要因になっているということでしょう。

実際、離婚調停などでは、相手に対する感情的しこりから、条件面での冷静な話し合いよりも、相手に対する誹謗中傷合戦になってしまうこともよく見るところです。

それでは、なかなか合意には至らないですね。

ところで、離婚と親権について親子のドラマを描いた映画といえば、第52回の米アカデミー賞で5部門に輝いた名作『クレイマー、クレイマー』が有名ですね。

ダスティン・ホフマン演じる夫と、メリル・ストリープ演じる妻が離婚によって、一時は元夫に渡した5歳の息子の養育権を奪還するために裁判を起こし争う姿は、当時話題になりました。

今回の報道でもわかるように、映画のテーマのような争いが、この日本でも毎日どこかで起きているということですね。

そもそも、夫婦間で話し合いがうまくいくのであれば、離婚にまで至らないのかもしれません。

その意味では、離婚協議や面会交流の協議がうまくいかないのは必然といえば必然です。

「上手に別れられるなどということは、まったく稀なのだ。
そういうのは、ちゃんとうまくいっていたら、別れたりはしやしない」
(マルセル・プルースト/代表作『失われた時を求めて』など。フランスの作家)

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