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会社の飲み会への強制参加はセクハラになる!?

 >会社の飲み会への強制参加はセクハラになる!?

2014年8月1日

職場でのコミュニケーションの手段のひとつにも「食」と「酒」がありますね。
定期的に飲み会が開かれる職場もあるでしょう。

ところが、職場の飲み会が苦手だという人もいます。

今年、ある情報会社が実施した調査結果によると、「職場で苦痛と感じること」のアンケートで、20代の第3位が「職場の飲み会への参加」(14%)、30代では同率1位(15%)、40代では第2位(14%)だったということです。

そこで今回は、ある会社で働く女性社員の飲み会についてのお悩みについて解説します。

Q)会社で何が苦痛かといえば、飲み会への強制参加です。私の職場では定期的に「飲み会」があります。これがつらいのです。私は、あまりお酒は飲めないし、ひとりでいるのも好きなんです。でも飲み会では、おじさん社員たちに「まだ結婚しないのか?」「彼氏とは仲よくやってる?」などと言われます。酔いも回ってくると、さらにエスカレート。太ももを触られたり、肩を抱かれたりして正直気持ち悪いし、頭にきます。上司だったりすると批判もしにくいし……。それが嫌で最近仕事に身が入りません。問題解決にいい方法はないでしょうか? そもそも、会社の飲み会への強制参加はセクハラじゃないんですか?

A)1986(昭和61)年に施行された、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」、いわゆる「男女雇用機会均等法」にはセクシャルハラスメント(以下、セクハラ)に対する事業主の講ずるべき措置等が定められています。

「男女雇用機会均等法」
第11条(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
1.事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
ここでいう「性的な言動」とは、性的な内容の発言や行動のことで、以下のようなことが含まれるとされています。

〇性的な事実関係を尋ねること
〇性的な内容の情報を意図的に流布すること
〇性的な冗談やからかい
〇食事・デートなどへの執拗な誘い
〇個人的な性的体験談を話すこと
〇性的な関係を強要すること
〇必要なく身体に触ること
〇わいせつな図画(ヌードポスターなど)を配布、掲示すること
〇強制わいせつ行為、強姦等
ところで、「セクハラ」の定義とはどのようなものなのでしょうか。

厚生労働省の「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」によると、セクハラには「対価型」と「環境型」があるとされています。

【対価型セクシャルハラスメント】
職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること。

典型的な例として、以下のようなものが挙げられます。

①事務所内において事業主が労働者に対して性的な関係を要求した
が、拒否されたため、当該労働者を解雇すること。

②出張中の車中において上司が労働者の腰、胸等に触ったが、抵抗さ
れたため、当該労働者について不利益な配置転換をすること。

③営業所内において事業主が日頃から労働者に係る性的な事柄につい
て公然と発言していたが、抗議されたため、当該労働者を降格するこ
と。

【環境型セクシャルハラスメント】
性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に大きな悪影響が生じること。

典型的な例として、以下のようなものが挙げられます。

①事務所内において上司が労働者の腰、胸等に度々触ったため、当該
労働者が苦痛に感じてその就業意欲が低下していること。

②同僚が取引先において労働者に係る性的な内容の情報を意図的かつ
継続的に流布したため、当該労働者が苦痛に感じて仕事が手につかな
いこと。

③労働者が抗議をしているにもかかわらず、事務所内にヌードポスタ
ーを掲示しているため、当該労働者が苦痛に感じて業務に専念できな
いこと。
どこまでをセクハラというのか?
男女間、世代間、または個人的価値観の相違などで一概に言えない部分もあり、具体的な線引きが難しいことが多いのですが、以上のことから、質問者の女性の場合、上司などからの結婚や彼氏についての質問や太ももを触られる、肩を抱かれるという事実があり、それによって業務に支障が生じているわけですから、セクハラということになります。

次に、会社の飲み会を「職場」といえるかという問題に関してはどうでしょうか。

職場についての定義としては、「事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については、職場に含まれる」としています。

たとえば、取引先の会社、取引先との打ち合わせのための飲食店、顧客の自宅なども「職場」に該当するとしています。

また、「勤務時間外の宴会等であっても、実質上職務の延長と考えられるものは職場に該当するが、その判断にあたっては、職務との関連性、参加者、参加が強制的か任意か等を考慮して個別に行う」としています。

これらから考えると、上記のような強制参加が行われている場合には実質的に職場の延長と判断されると思います。

セクハラをされた場合に泣き寝入りすると、さらにエスカレートします。そして、精神的な苦痛も増大するのが通常です。

早いうちに上司や社長、弁護士などに相談することをおすすめします。

会社側の場合、セクハラがあったことを知った時はただちに対処し、再発防止措置を講じなければ、使用者責任で会社も損害賠償責任を負担します。

会社と従業員を守るため、日頃からセクハラに関するトップのメッセージや注意喚起、アンケートの実施、セクハラ防止に関する社内教育などを通じてセクハラが起こらないように努力することが大切です。

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