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遺産相続における特別受益とは何?

 >遺産相続における特別受益とは何?

2014年7月9日

松下幸之助さんが生前、こんなことを言ったそうです。

「嫉妬は狐色に焼くのがよろしい」

焼きが足りなくてもいけないし、焼き過ぎてもいけない。
嫉妬は、こんがり狐色くらいが程よく香りも立って、人間味も出て、さらには本人の向上心にもつながる。
そんなことをユーモアで表現したのでしょう。

とかく、人間が集まると嫉妬が芽生え始めるものです。
それは会社の人間関係でも友人同士でも、家族の間でもあるものです。

「お姉ちゃんばかり、ずるい!」
「父も母も弟であるお前ばかり可愛がって、うらやましかった」

子供の頃、兄弟姉妹でこんな不公平を感じていた人も大人になり何事もなく、それぞれの家庭を持って暮らしていたのに、ある問題がきっかけで、兄弟の仲が険悪になってしまうこともあります。

今回は、不公平を感じてきた兄弟姉妹間の遺産相続問題を解説します。


Q)父が亡くなり、兄弟間で遺産問題が起きてしまいました。問題は弟です。私たち兄弟は長女である私、次女、長男である弟の3人です。父も母も後継ぎとして、小さい頃から弟を可愛がってきました。それは姉である私たちも同じですが、やはり少し甘やかしすぎたようです。弟は大学進学資金、結婚費用を親から出してもらい、おまけに実家から飛び出し、マイホーム資金まで出してもらったにも関わらず、父の死後、「自分が後継ぎなんだから遺産を多くもらって当然だ」と主張します。今まで親からの援助を多く受けてきた弟が、さらに遺産相続も多くもらう権利があるなんて、おかしくないですか? もう、我慢できず法的に対応しようと考えています。どのように進めていけばよいのでしょうか? ちなみに、母は健在で父の遺言書はありません。

A)被相続人から特別に財産をもらった相続人がいる場合、その財産も遺産の一部とみなして法定相続分から差し引いてから遺産分割することを「特別受益」といいます。

つまり、特別受益とは、質問のように被相続人である父の生前に法定相続人の1人である弟が特別に利益を受けていた場合、遺産分割の際に弟が同じ相続分を受けられるとすれば、それは不公平になってしまいます。そのため、受けるべき財産額の「前倒し」を受けていたとして扱うことで、不公平を是正する制度ということです。(「民法」第903条)

質問からは実際の金額がどのくらいかはわかりませんが、仮に、遺産が5,000万円、弟が受けていた利益を1,000万円とすると、具体的な法定相続分は以下のようになります。

「みなし財産」
5,000万円+1,000万円=6,000万円

「各相続人の相続分」
妻:6,000万円×2分の1=3,000万円
長女:6,000万円×2分の1×3分の1=1,000万円
次女:6,000万円×2分の1×3分の1=1,000万円
長男:6,000万円×2分の1×3分の1=1,000万円

ここで、長男である弟はすでに贈与として1,000万円を受けているので、差し引いた残額は0円。
よって、単純に計算すると、今回の法定相続分は弟にはないということになります。

ただし、注意点があります。

①みなし財産から控除する特別受益は、贈与時ではなく相続開始時で評価するため、住居などは現実の遺産分割時の不動産評価額を参考にして修正し算定することが多くあります。

②生活費の援助や結婚式費用など、社会通念上、遺産の前渡しとまではいいがたい範囲の金額は特別受益とはいえないとされる場合があります。

③法定相続人全員が合意すれば、遺産は法定相続分のとおりにきっちり分割する必要はありません。こうした話し合いを、「遺産分割協議」といいます。

つまり、弟の「自分が後継ぎだから遺産を多くもらって当然」という考えは違法ではありませんが、法定相続人間で話がまとまらず合意が得られないため法的な対応を考えているなら、今後は家庭裁判所の調停の手続に入ることになります。

家庭裁判所の調停は、場合によっては何年もかかることがあり、さらに親族間でもめて関係が悪化することも考えられますから、今後の対応については慎重に判断していただきたいと思います。

ご相談は、こちらから⇒ http://www.bengoshi-sos.com/about/0902/

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