名義預金が否定された裁決例 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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名義預金が否定された裁決例

2022年04月21日

今回は、課税庁による名義預金の認定が裁決により覆された事例をご紹介します。

国税不服審判所令和3年9月17日公表裁決です。

事案は、争点に絞って簡略化します。

(事案)

被相続人は、生前、「私は、平成拾参年度より以後、毎年八月中に左記の四名の者に金、○○○○円也を各々に贈与する。但し、法律により贈与額が変動した場合は、この金額を見直す。」と記載した贈与証を作成し、署名押印をしたが、預金名義である子らの署名押印はいずれもなかった。

Aは、被相続人と配偶者ではないBとの子であり、未成年者である。

Bは、Aの唯一の法定代理人親権者である。

被相続人は、母Bを通して、Aの預金口座に金員を複数回に渡り入金した。

課税庁は、母Bが本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金がAへ贈与されたものとは認識していないから、被相続人からAへの贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれるとして、更正処分をした。

(争点)

本件預金口座に係る預金が名義預金として被相続人の相続財産に含まれるか。

※贈与は、「契約」ですので、当事者双方の意思表示の合致が必要です。

今回のケースでは、Aは未成年者ですので、母Aが法定代理人として贈与を受諾する意思表示をしたかどうかが問題となります。

(裁決)

母Bは、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金していた。

母Bは、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していた。

当時、長女の唯一の親権者であった長女の母は、長女の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当である。

本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初からAに帰属するものであって、相続財産には含まれない。

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以上です。

相続において、相続人名義の預金が被相続人の相続財産であるという名義預金の問題が生ずることがあります。

この場合、契約書があるかないかが事実認定にとって重要となってきます。

しかし、税務では、実態で事実認定されますので、以下のこともおさえておく必要があります。

・預金通帳、印鑑を受贈者(法定代理人)が管理すること

・その預金から受贈者のための出費をすること

・通帳の届出住所を常に受贈者に一致させること

・必要な場合は贈与税の申告をすること

そして、誤った更正がされた場合には、争うことも必要と考えます。

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