【税理士向け】株主総会の助言に注意 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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【税理士向け】株主総会の助言に注意

2022年02月11日

今回は、株主総会の瑕疵についてです。

税理士は株式会社である顧問先から色々と相談されることがあると思います。

その中には、株主総会決議を要することも含まれます。

その際、株主総会議事録の作成を助言することは当然として、会社法の手続きに従って株主総会を行うことも助言しておかないと、後でトラブルになることがあります。

会社法上、株主総会の瑕疵がある場合には、以下の法的手続きがあります。

・決議取消の訴え

・決議無効確認の訴え

・決議不存在確認の訴え

決議取消の訴えは、決議後3ヶ月以内ですが、無効確認と不存在は、いつまででも訴えることができます。

決議取消の訴えが可能なのは、例えば、以下のような場合です。

・一部株主への招集通知漏れ

・招集通知の期限遅れ

・取締役会決議がなく招集通知を発送

・動議の無視

・株主が出席困難な時刻・場所で開催した場合

ちなみに、株主総会を開催せずに、議事録だけ作成した場合は、そもそも株主総会決議が存在しないことになるので、決議不存在確認の訴えを起こすことができます。

そして、決議不存在を知りながら、税理士が税務書類を作成すると、税理士法違反となります。

過去の懲戒処分例で、以下のようなものがあります。

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(1)被処分者は、関与先であるA社の法人税の確定申告にあたり、開催されていない臨時株主総会において、決算期が5月から3月に変更されたと偽装することによって、4月および5月に生じた収益を除外し、所得金額を圧縮した事実に反する申告書を作成した。

(2)被処分者は、A社の消費税および地方消費税の確定申告にあたり、開催されていない臨時株主総会において、決算期が5月から3月に変更されたと偽装することによって、4月および5月に生じた課税売上高を除外し、消費税および地方消費税額を圧縮した事実に反する申告書を作成した。

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第三者の少数株主がいるような場合には、会社法の手続きを欠いたことによって、後日、トラブルに発展することがありますので、相談を受けた場合には、条文や書籍等を確認して適切な助言をすることが大切となってきます。

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