積極的隠蔽なくても重加算税(納税者敗訴) | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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積極的隠蔽なくても重加算税(納税者敗訴)

2022年01月27日

今回は、重加算税に関する裁判例で、納税者敗訴のものです。

東京地裁平成30年4月24日判決(TAINS Z268-13147)、控訴棄却、上告不受理決定です。

(事案)

被相続人は、平成24年10月に死亡した。

原告は、相続人であり、平成22年~相続開始までの間に、被相続人名義の預金口座から合計2422万5000円を引き出し、自宅等に現金で保管していた。

原告は、税理士に委任して相続税申告をしたが、相続財産として計上された現金は、70万円であった。

課税庁は、隠蔽又は仮装があるとして、重加算税賦課決定をした。

(争点)

架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為がないが、「隠蔽又は仮装」があったといえるか。

(判決)

重加算税制度の趣旨に鑑みれば、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在したことまで必要であると解するのは相当でなく、納税者が、当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合には、重加算税の賦課要件が満たされるものと解すべきである〔最高裁平成7年4月28日判決〕。

原告は引き出した2000万円以上の現金を被相続人の自宅及び原告の当時の自宅において複数の封筒に入れた状態で保管していたのであるから、自らが多額の現金を保管しており、これが相続税の対象となる相続財産であって、申告しなければならないものであるとの認識を有していたと考えるのが自然である。

加えて、原告は、杉並税務署の財務事務官による質問応答において、本件現金が相続財産であることを認識しつつも税理士にその存在を伝えず、本件申告から除外したことを自認している。

原告は、預金の引き出しを上回る経費を記載した書面を税理士に交付して、本件現金の存在を認識することが困難な内容の書面を作成して税理士に交付した。

税理士が時間的な制約等からその内容について十分な検証ができないという状況下で、税理士からの現金の有無に関する質問に対する回答を殊更に避け、また、実際に保管されている現金の額と著しく異なる金額が相続財産である現金の額として本件申告書に記載されていることを認識しつつ、あえてこの相違につき税理士に指摘しなかった

原告の一連の行動は、多額の現金を保管している事実を税理士から知られないように意図して行われたものと評価することができ、相続財産を過少に申告するという上記の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に当たると認めるのが相当である。

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以上です。

積極的な隠蔽仮装行為がない場合には、多くの場合、過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動があるかどうか、検討されます。

今回は、

・多額の現金を保管していたこと

・質問応答においても相続財産と認識していたと供述したこと

・税理士からの質問をことさらにはぐらかしたこと

・現金の存在をごまかす書面を税理士に交付したこと

などをもって、「過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動」と認定されたものです。

反対に、

・保管金額が少額であること

・質問応答において、「忘れていた」などと供述すること

・税理士からの質問に素直に回答したこと、あるいは質問の趣旨を誤解して回答したこと

・他に現金の存在をごまかそうとした痕跡がないこと

などの事情があれば、十分に争える、ということになります。

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