税理士の守秘義務
今回は、税理士法の守秘義務についてです。
税理士法38条は、「税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。」と規定しています。
そして、税理士法基本通達38-2は、「法第38条に規定する『税理士業務に関して知り得た秘密』とは、税理士業務を行うに当たって、依頼人の陳述又は自己の判断によって知り得た事実で、一般に知られていない事項及び当該事実の関係者が他言を禁じた事項をいうものとする。」とされています。
税理士が扱う情報は、個人又は法人の収入、支出、税額などの情報ですが、これらは、全て一般に知られていない情報であり、守秘義務の対象となる情報がほとんどであると言えるでしょう。
税理士が守秘義務に違反した場合には、損害賠償責任が発生し、懲戒処分の対象となり、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる可能性があります(税理士法59条)。
また、守秘義務は、資格を有する税理士にだけあるものではありません。
税理士法54条は、「税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者でなくなった後においても、また同様とする。」とされています。
職員にも守秘義務がある、ということなので、事務所内で徹底する必要があります。
職員も守秘義務に違反した場合には、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金刑が科せられることとされており(税理士法59条)、税理士と同等の責任を負担します。
最近は、自宅で仕事をすることも多いと思いますが、家族も顧客との関係では「第三者」です。
税理士の事案ではありませんが、看護師が配偶者に仕事上の秘密を漏らし、守秘義務違反として損害賠償請求をされ、それが認められた事案があります。
また、たとえば会社の大株主であっても、役員でなければ理論上は第三者です。
決算書等を要求されても、事実認定として会社の承諾があったとされない限り、これを交付してはいけない、ということになります。
ご注意いただきたいと思います。
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