インボイス制度における税理士損害賠償のリスク
令和5年10月1日から、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が導入されます。
そして令和3年10月1日から適格請求書発行事業者の登録申請の受付が開始されました。
この新しい制度ですが、税理士が損害賠償責任を負担する可能性のある制度でもあります。
想定されるのは、
(1)適格請求書発行事業者の登録をした場合の有利不利に関する説明助言義務違反
(2)適格請求書発行事業者の登録申請手続き、取り下げ手続の失念
(3)顧問先等が受領する取引先からの適格請求書の取得・保存についての助言義務違反(説明なし、説明不足)
(4)顧問先等が受領する取引先からの適格請求書の記載内容の正確性(要件具備)及び適法性(発行者が適格請求書発行事業者であるかどうかどうかの確認を含む)の確認義務違反
などです。
まだ制度が開始されておらず、トラブル事例が発生していないので、他にもあるかもしません。
これらにどう対応したらよいのか、という点が悩ましいところだと思います。
おすすめとしては、
・適格請求書発行事業者の登録をするかどうかの判断は依頼者とすること
・税理士に適格請求書発行事業者の登録を依頼した場合には、その証拠を残しておくこと
・顧問先等が受領する取引先からの適格請求書の確認などは顧問先等に行ってもらうこと
などです。
これらについて、契約書に記載するか、あるいは契約書とは別の合意書を締結しておく、という方法です。
【税理士を守る会】の会員の先生方は、すでに上記に対する備えをした契約書10種類をセットしてありますので、ご利用いただければと思います。
なお、税理士が適格請求書発行をしないで済むように、顧問契約書で税理士の側の適格請求書の記載要件を具備しておく方が面倒がなくてよいと思います。
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