【税理士向け】従業員の隠蔽仮装で重加算税取り消し裁決 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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【税理士向け】従業員の隠蔽仮装で重加算税取り消し裁決

2021年10月29日

今回は、従業員が会社の外注費として、自分の親族名義の口座に金員を振り込ませた事案において、重加算税賦課決定が取り消された裁決例をご紹介します。

国税不服審判所令和元年10月4日裁決です。

(事案)

請求人は、建物の総合管理の請負を目的とする法人であり、当該従業員はエンジニアリング部に所属していた。

当該従業員は、架空の請求書を作成し、請求人宛提出して、親族名義の銀行口座に金員を振り込ませ、詐取した。

詐取した金員は、主にゴルフ代や飲食代等に使用していた。

請求人は、本件金員を外注費として処理した。

税務署長は、本件外注費は架空外注費であるとして、重加算税賦課決定をした。

(裁決)

1 規範

納税者が法人である場合、法人の従業員など納税者以外の者が隠蔽又は仮装する行為を行った場合であっても、それが納税者本人の行為と同視することができる場合には、納税者本人に対して重加算税を賦課することができると解するのが相当である。

そして、従業員の行為を納税者本人の行為と同視できるか否かについては、

(1)その従業員の地位・権限

(2)その従業員の行為態様

(3)その従業員に対する管理・監督の程度

等を総合考慮して判断するのが相当である。

2 「隠ぺい又は仮装」該当性

当該親族において本件各外注工事を施工することができないにもかかわらず、本件従業員は、親族を下請業者とする本件各受注伝票を作成するとともに、本件従業員妻に指示して架空の本件各請求書を作成させ請求人に交付することにより、請求人に本件外注費を計上させ、本件各金員を支払わせたものである。
これらの行為は、実際には存在しない外注費を、あたかもそれが存在するかのように装ったものであることから、本件従業員による本件行為は通則法第68条第1項に規定する「仮装」に該当する。

3 従業員の行為を請求人の行為と「同視」できるか

本件従業員は、

・請求人の経営に参画することや、経理業務に関与することのない一使用人であった

・本件行為は、請求人の業務の一環として行われたものではなく、本件従業員が私的費用に充てるための金員を請求人から詐取するために独断で行ったものである

一方、請求人においては、

・一定の管理体制が整えられていたものの、本件行為のような詐取行為を防止するという点では、管理・監督が十分であったとは認められない。

4 結論

職制上の重要な地位に従事せず、限られた権限のみを有する一使用人が、独断で請求人の金員を詐取したという事件の事情に鑑みれば、本件従業員に対する請求人の管理・監督が十分ではなく、本件行為を発覚できなかったことをもって、本件行為を請求人の行為と同視することは相当ではない。

以上の点を総合考慮すれば、本件従業員による本件行為を納税者たる請求人の行為と同視することはできないと判断するのが相当である。

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以上です。

会社の役員や従業員の隠ぺい又は仮装行為があった場合に、重加算税賦課要件を満たすかどうかについて、裁判例も裁決例も、「納税者の行為と同視」できるかどうかを判断基準にしています。

本裁決例では、その「同視」できるかどうかのメルクマールを

(1)その従業員の地位・権限

(2)その従業員の行為態様

(3)その従業員に対する管理・監督の程度

等を総合考慮して判断するのが相当である、としています。

その結果、役員等の場合には同視しやすくなり、権限がなく詐取したような場合には同視しにくくなる、という認定に傾いていくことになります。

役員や従業員の行為で重加算税が問題になった場合には、参考にしていただければと思います。

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