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税務調査で虚偽答弁のみでは重加算税にならない

2020年08月02日

今回は、「税務調査における虚偽答弁は、重加算税賦課の理由になるか」について解説をします。

たとえば、所得税の税務調査において、調査官から、「このA銀行の預金口座の他に、業務で使用している預金口座はありませんか?」と質問されたとします。

これに対し、納税者は、B銀行の預金口座があるにもかかわらず、「ない」と回答した場合、重加算税が賦課されるでしょうか。

虚偽答弁は、「隠蔽又は仮装」に該当するかどうかです。

まずは、通達を見てみましょう。

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「申告所得税及び復興特別所得税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」

第1 賦課基準
(隠蔽又は仮装に該当する場合)

1(8)
調査等の際の具体的事実についての質問に対し、虚偽の答弁等を行い、又は相手先をして虚偽の答弁等を行わせていること及びその他の事実関係を総合的に判断して、申告時における隠蔽又は仮装が合理的に推認できること。

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これを読むと、重加算税が賦課されそうです。

しかし、後半部分の「その他の事実関係を総合的に判断して、申告時における隠蔽又は仮装が合理的に推認できること。」に注目したいと思います。

これは、何を言っているかということ、「申告後」の虚偽答弁がただちに「隠蔽又は仮装」になるのではなく、「申告時」に「隠蔽又は仮装」がなければならないということです。

以下の最高裁判決に配慮をしているものと考えられます。

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(1)各確定申告の時点において、真実の所得金額を隠ぺいしようという確定的な意図を持っており
(2)必要に応じ事後的にも隠ぺいのための具体的工作を行うことも予定して、
(3)会計帳簿類から明らかに算出し得る所得金額の大部分を脱漏し、所得金額を殊更過少に記載した内容虚偽の確定申告書を提出した
というような事情が認められる場合には、重加算税の賦課要件を満たすことになる
(最高裁平成6年11月22日判決)。

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納税者が、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合には、重加算税の右賦課要件が満たされる(最高裁平成7年4月28日判決)。

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過去の裁判例においても、所得税の税務調査において、調査に非協力、かつ、預金口座があるのに「ない」と回答した事例について、重加算税賦課決定を取り消した横浜地裁昭和53年3月13日判決(TAINS Z097-4150)があります。

税務調査における虚偽答弁で重加算税の主張をされることは多いと思いますが、虚偽答弁だけでは重加算税の賦課要件を満たさず、あくまで「申告時」において隠蔽又は仮装があったかどうかに論点を集中させるようにしましょう。