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重加算税の要件と回避法

2019年12月27日

重加算税とは


重加算税は、税務調査の結果、納税者に隠ぺい又は仮装があった場合に課せられるものです。その税率は、基本税率で35%又は40%、4項加算をされると、45%または50%と非常に高率となっています。したがって、重加算税賦課決定処分が適法か否かについては、納税者にとって非常に重要です。

しかし、重加算税は、要件が曖昧であり、かつ、税理士が日常的な業務をしている中で重加算税を研究する機会は、意外に多くないように思います。

そこで、この記事では、重加算税の賦課要件と重加算税を回避法を包括的かつ網羅的に説明していきます。

重加算税は、過少申告・無申告・不納付の場合に科せられます。

国税通則法68条に規定されています。

過少申告に関する重加算税は、国税通則法68条1項です。

第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額・・・に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

【参考情報】国税通則法
http://ow.ly/bcHE50xIqG8

条文上の要件を分解すると、以下のようになります。
①過少申告加算税の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)
②納税者が
③その国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、
④隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していた

以上の要件を満たすと、効果として、隠ぺい又は仮装した部分に相当する税額につき、過少申告加算税に代えて、35%の割合を乗じた重加算税が課せられます。

但し、この場合に、期限後申告等(期限後申告書又は修正申告書の提出(更正又は決定を予知してされたものに限る)、更正又は決定、納税の告知又は告知を受けることなくされた納付)の前日から起算して5年前の日までの間に同じ税目に対して無申告加算税又は重加算税を課されたことがある場合には、10%の割合が加算され、45%の割合を乗じた重加算税が課せられます(同条4項)。

隠蔽又は仮装とは


重加算税の賦課要件の中で重要なのは、「事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し」に該当するかどうか、という点です。

この「隠蔽し、又は仮装し」について、和歌山地裁昭和50年6月23日判決(TAINS Z082-3588)は、「不正手段による租税徴収権の侵害行為を意味し、「事実を隠ペい」するとは、事実を隠匿しあるいは脱漏することを、「事実を仮装」するとは、所得.財産あるいは取引上の名義を装う等事実を歪曲することをいい」いずれも行為の意味を認識しながら故意に行うことを要するものと解すべきである。」としています。

また、国税庁は、「課税処分に当たっての留意点」(平成25年4月 大阪国税局 法人課税課、TAINS H250400課税処分留意点178頁)において、「『隠蔽』とは、課税標準等又は税額の計算の基礎となる事実について、これを隠蔽し、あるいは故意に脱漏することをいい、また『仮装』とは、財産あるいは取引上の名義等に関し、あたかも、それが真実であるかのように装う等、故意に事実を歪曲することをいう(名古屋地裁昭和55年10月13日判決)」としています。

隠蔽又は仮装の具体例は、通達を見るとわかります。

法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)は、隠蔽または仮装の具体例として、次のような行為を挙げています。

1 通則法第68条第1項又は第2項に規定する「国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し」とは、例えば、次に掲げるような事実(以下「不正事実」という。)がある場合をいう。
(1) いわゆる二重帳簿を作成していること。
(2) 次に掲げる事実(以下「帳簿書類の隠匿、虚偽記載等」という。)があること。
 ①帳簿、原始記録、証ひょう書類、貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳明細書、棚卸表その他決算に関係のある書類(以下「帳簿書類」という。)を、破棄又は隠匿していること。
 ②帳簿書類の改ざん(偽造及び変造を含む。以下同じ。)、帳簿書類への虚偽記載、相手方との通謀による虚偽の証ひょう書類の作成、帳簿書類の意図的な集計違算その他の方法により仮装の経理を行っていること。
 ③帳簿書類の作成又は帳簿書類への記録をせず、売上げその他の収入(営業外の収入を含む。)の脱ろう又は棚卸資産の除外をしていること。
(3) 特定の損金算入又は税額控除の要件とされる証明書その他の書類を改ざんし、又は虚偽の申請に基づき当該書類の交付を受けていること。
(4) 簿外資産(確定した決算の基礎となった帳簿の資産勘定に計上されていない資産をいう。)に係る利息収入、賃貸料収入等の果実を計上していないこと。
(5) 簿外資金(確定した決算の基礎となった帳簿に計上していない収入金又は当該帳簿に費用を過大若しくは架空に計上することにより当該帳簿から除外した資金をいう。)をもって役員賞与その他の費用を支出していること。
(6) 同族会社であるにもかかわらず、その判定の基礎となる株主等の所有株式等を架空の者又は単なる名義人に分割する等により非同族会社としていること。

【出典】国税庁「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/100703_02/00.htm

重加算税に関する最高裁ルール


重加算税に関して判断した最高裁判例について、重要な規範を抽出すると、以下のようになります。

【ルール1】 隠ぺい又は仮装行為と過少申告行為との関係
重加算税を課するためには、納税者のした過少申告行為そのものが隠ぺい、仮装に当たるというだけでは足りず、過少申告行為そのものとは別に、隠ぺい、仮装と評価すべき行為が存在し、これに合わせた過少申告がされたことを要する(最高裁平成7年4月28日判決)

【ルール2】 つまみ申告について
(1)各確定申告の時点において、真実の所得金額を隠ぺいしようという確定的な意図を持っており
(2)必要に応じ事後的にも隠ぺいのための具体的工作を行うことも予定して、
(3)会計帳簿類から明らかに算出し得る所得金額の大部分を脱漏し、所得金額を殊更過少に記載した内容虚偽の確定申告書を提出した
というような事情が認められる場合には、重加算税の賦課要件を満たすことになる(最高裁平成6年11月22日判決)。

【ルール3】 納税者自身の積極的な行為がない場合
納税者が、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合には、重加算税の右賦課要件が満たされる(最高裁平成7年4月28日判決)。

【ルール4】 税理士が隠ぺい又は仮装行為をした場合
納税者と税理士との間に事実を隠ぺいし、又は仮装することについて意思の連絡があったと認められる場合には、賦課要件を満たすことになる(最高裁平成17年1月17日判決)。

【ルール5】税理士が納税者に無断で隠ぺい又は仮装行為をした場合
以下の場合には、隠ぺい仮装行為を納税者本人の行為と同視できるとして、重加算税の賦課要件を満たす、ということになる(最高裁平成18年4月20日判決)
(1)納税者において当該税理士が隠ぺい仮装行為を行うこと若しくは行ったことを認識し、又は容易に認識することができたこと
(2)法定申告期限までにその是正や過少申告防止の措置を講ずることができたこと
(3)納税者においてこれを防止せずに隠ぺい仮装行為が行われたこと
(4)に基づいて過少申告がされたこと

【ルール6】 隠ぺい、仮装と過少申告との因果関係
納税者が故意に課税標準又は税額等の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺい、仮装行為を原因として過少申告の結果が生じたものであれば足り、それ以上に、申告に際し、納税者において過少申告を行うことの認識を有していることまでを必要とするものではない(最高裁昭和62年5月8日判決)

税務調査で指摘された隠蔽又は仮装が、上記の最高裁ルールに当てはまるかどうかを検討し、当てはまらない場合には、当該最高裁判決を指摘して反論することになります。

会社関係者の隠蔽又は仮装


会社の代表者が行った隠蔽又は仮装については言い逃れができませんが、代表者が知らないうちに、会社の役員は従業員が隠蔽又は仮装をして、過少申告等をしていた場合は、会社の隠蔽又は仮装と言えるでしょうか?

この点、いくつもの裁判例がありますが、ここでは、通達を確認しておきたいと思います。

「課税処分に当たっての留意点」(平成25年4月 大阪国税局 法人課税課、TAINS H250400課税処分留意点、179頁)

「代表権を有する者が行った不正行為は会社の行為となるが、その他の会社関係者が行った不正行為の結果、過少申告が生じた場合であっても、その不正行為を会社の行為と同視して重加算税を賦課できる場合がある。従業員であっても、会社の主要な業務を任され、長期にわたる不正や多額な不正など会社が通常の注意をすれば容易に発見できる不正行為を管理監督しなかったために、これを見過ごし、結果としてこれを起因とする過少申告が生じた場合には、会社の行為と同視することができる」

「管理監督責任の不履行については事実関係を立証することが困難である場合が多いので、不正行為者がどの範囲まで業務を任され、当該業務がどのようにチェックされていたか等について、特に次の①から③までについて関係者に対する『質問応答記録書』を作成するなどして証拠化しておく必要がある。
①重要な事務を担当していたこと
②当該従業員に業務を任せきりにしていたこと
③法人が何らかの管理・監督をしないまま放置していたこと」

ということです。

したがって、反論する場合には、次のような事情がある場合には、当該事実を主張して、重加算税賦課要件を満たさない旨反論することになります。

①不正行為者が重要な事務を担当する地位や権限を有していないこと
②会社が就業規則やルールにより、不正を禁止していたこと
③会社が管理・監督をしていたにもかかわらず不正が生じたこと

納税者主張整理書面を提出する


課税庁が納税者に対し、重加算税を賦課するには、課税庁内において、「争点整理表」という書類を作成し、統括官及び審理担当者の確認を得ます。

したがって、この争点整理表に正確な事実を記載してもらうことが必要になってきます。

調査担当者の誤った事実認識が争点整理表に記載されると、その誤った事実に基づいて課税庁内で審理され、誤った重加算税賦課決定がなされる危険性があります。

そうなると、再調査の請求、審査請求、処分取消訴訟と、多大な費用と時間を費やして誤った重加算税賦課決定を取り消してもらわないといけません。

したがって、できる限り争点整理表には、正確な事実及び納税者の主張が記載されるよう努力しなければなりません。

そのために有効なのが、「納税者主張整理書面」の提出です。

納税者の主張を法的三段論法にまとめ、書面で整理して主張するとともに、証拠を添付して提出します。

そうすれば、その書面及び証拠を審理担当者が検討し、重加算税賦課要件を充足するかどうかの判断をしてくれることが期待されます。

納税者主張整理書面の体裁や書き方については、以下の書籍をご参照ください。

「税務のわかる弁護士が教える税務調査に役立つ”整理表” -納税者勝訴判決から導く”七段論法” 」(ぎょうせい)
https://www.amazon.co.jp/dp/4324106460/

また、重加算税について、詳しく調べたい方は、以下の書籍をご参照ください。

「税務のわかる弁護士が教える 税務調査における重加算税の回避ポイント」(ぎょうせい)
https://www.amazon.co.jp/dp/4324107408/

ご相談は、こちらから。
https://www.bengoshi-sos.com/zeimu/

「税理士を守る会」は、こちらから。
https://myhoumu.jp/zeiprotect/new/