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従業員の行為による重加算税は二段階論法

2019年06月29日

今回は、重加算税に関する裁決例をご紹介します。

国税不服審判所平成21年9月9日裁決(TAINS J78-3-20)です。

(事案)

印刷の請負及び製本紙器の製作などを目的とする株式会社の本社工場生産管理課長又は生産管理部生産管理課長が、請求人の所有する余剰紙を請求人に無断で売却し、その売却代金を受領したにもかかわらず、個人的な飲食、ゴルフ、旅行等の遊興費に費消して、請求人の売上に計上していなかった行為が、請求人の隠ぺい又は仮装にあたる、とされたものです。

(裁決の要旨)

●元課長は、本件各事業年度において、経営に従事する立場にはない

●本件紙取引の対象となった支給紙の払出しの指示を出す業務を行ってはいたものの、印刷用紙の保管及び管理に関する業務を遂行する職務及び権限を請求人から与えられていなかった

●本件余剰紙を自己の判断で売却する権限を有していなかった

●本件紙取引は、元課長が、請求人から窃取した本件余剰紙を、架空会社の名義を使用して売却したものである

●請求人は、印刷の請負及び製本紙器の製作等を目的とし、印刷用紙の販売を目的としていない

●本件各事業年度において、請求人が所有・管理していた、本件余剰紙以外の印刷用紙が他に販売された事実はなく、外注先に対し有償で支給された事実もなかった

●買取人は、本件紙取引が請求人との取引であるとは認識していなかった

⇒以上のことを総合考慮すれば、本件紙取引に係る収益は、請求人の売上げとはいえない。

判断の要点は、以下のとおりです。

●印刷用紙の販売は納税者の業務の範囲内か

●従業員は販売する権限を持っていたか

●買取人は納税者との取引として認識したいたか

そして、ここがポイントですが、本件は重加算税に関する裁決例として紹介されますが、実は、「実質所得者課税」に関する論点であるということです。

「隠ぺい・仮装」については判断されておらず、「誰の収益か」が問題となっている、ということです。

このように、従業員の行為が問題となるケースでは、「隠ぺい・仮装」の前に、「実質所得者課税」について検討し、その後に「隠ぺい・仮装」があったかどうか、が検討される、という二段階構造になっていることに注意が必要です。

このような問題意識は、口頭でのやり取りではなかなか気づかず、書面化することで明確になり、課税庁の誤りも明らかになってくると思います。

参考にしていただければと思います。

そんな時は、納税者側から、積極的に書面を提出していくのが有効です。

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