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モンストのゲームデータの乗っ取りで逮捕

2018年11月28日

世の中には、さまざまな代行業がありますが、今回はゲーム代行業者が逮捕されたという事件について解説します。

「人気スマホゲームで不正アクセス 乗っ取りの疑いで男逮捕」(2018年11月28日 福島民友新聞)

人気のスマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」(モンスト)で他人のアカウントに不正アクセスしたとして、福島県警いわき中央署は千葉県の自称ゲーム代行業の男(39)を不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕しました。

逮捕容疑は、今年(2018年)5月24、25の両日、福島県いわき市に住む40代の会社員男性になりすまし、男性のアカウントに不正にアクセスし、ゲームデータを乗っ取った疑いです。

同署によると、モンストの不正アクセスによる逮捕は全国で初めてだということです。


【事件の概要】
事件の概要は次の通りです。

容疑者の男は、2015(平成27)年頃から依頼を受け、他人のゲームキャラクターなどを育成して報酬を受け取っていた。
報酬の総額は1500万円以上、代行した件数は約2万件にものぼっていた。

2018年5月、男は過去に依頼を受けた際に知った福島県いわき市の男性のアカウントに不正にアクセスし、ゲームデータを乗っ取り、パスワードなどを変え、男性が接続できない状態にした。

その際、インターネットの匿名利用を可能にする「仮想専用網(VPN)」を使い、発信元をわかりにくくしていた。

男は「金儲けに使うためだった」と容疑を認めており、これまで同様の手口で約200個のアカウントを乗っ取ったと供述しているという。


【不正アクセス禁止法とは?】
では、条文を見てみましょう。

「不正アクセス禁止法」
第3条(不正アクセス行為の禁止)
何人も、不正アクセス行為をしてはならない。


第11条(罰則)
第3条の規定に違反した者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。


不正アクセス禁止法は、正式名称を「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」といい、1999(平成11)年8月13日に公布、2000(平成12)年2月13日に施行された法律です。

その目的は、インターネットなどのネットワーク上での通信における不正アクセス行為を禁止することで犯罪を防止し、秩序の維持を図り、高度情報通信社会の健全な発展に寄与すること、となっています。(第1条)

本法の処罰対象となるのは故意犯です。
過失犯や未遂犯は処罰の対象以外となっています。

では、どのような行為を不正アクセスというのでしょうか?

第2条4項では次のように規定しています。

・アクセス制御機能を持つ電子計算機に電気通信回線を通じてアクセスし、他人の識別符号を入力してアクセス制御機能を作動させ、本来は制限されている機能を利用可能な状態にさせる行為。(1号)

・電気通信回線を通じて、アクセス制御機能を持つ電子計算機にアクセスし、識別符号以外の情報や指令を入力してアクセス制御機能を作動させ、本来は制限されている機能を利用可能な状態にさせる行為。(2号)

・電気通信回線を通じて、アクセス制御機能を持つ他の電子計算機により制限されている電子計算機にアクセスし、識別符号以外の情報や指令を入力してアクセス制御機能を作動させ、本来は制限されている機能を利用可能な状態にさせる行為 。(3号)

条文にある、電子計算機とはパソコンやスマホ、電気通信回線とはインターネットやLANなど、識別符号とはパスワードやID、生体認証など、アクセス制御機能とは認証機能のことです。


「他人の識別符号を入力し」というのは、物理的にIDやパスワードを入力するのではなく、ネットなどを通じて対象となるパソコンやスマホなどにIDやパスワードを送信してアクセスすることです。

ですから、彼氏や彼女、配偶者などのメールをチェックする人がいますが、ダウンロードされたメールを盗み見るだけでは本法には抵触しないわけです。

しかし、IDとパスワードを入力してメールサーバーにアクセスしてメールを盗み見ると、不正アクセスになります。


【その他の禁止行為】
不正にアクセスするだけではなく、IDやパスワードを不正に取得したり、それを保管したり、他人に提供したりしても罪になります。

第4条(他人の識別符号を不正に取得する行為の禁止)
何人も、不正アクセス行為の用に供する目的で、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を取得してはならない。


第5条(不正アクセス行為を助長する行為の禁止)
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、当該アクセス制御機能に係るアクセス管理者及び当該識別符号に係る利用権者以外の者に提供してはならない。


第6条(他人の識別符号を不正に保管する行為の禁止)
何人も、不正アクセス行為の用に供する目的で、不正に取得されたアクセス制御機能に係る他人の識別符号を保管してはならない。


なお、フィッシングによる詐欺行為で不正にIDやパスワードの入力を要求しても罪になります。(第7条)

これらに違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金、となります。(第12条)


【被害者は民事訴訟を起こすこともできる】
不正アクセス行為は犯罪ですが、同時に被害者としては民事で損害賠償請求をすることもできます。

「民法」
第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。


民法上、不不法行為によって損害を与えた場合、加害者は被害者に対して損害賠償をする責任があるわけです。


ゲームは自分でやるから楽しいのでは? と思いますが、今までに2万件のキャラ育成代行の依頼があったというのですから驚きです。

いずれにしても、他人に自分のIDやパスワードを簡単に教えてしまうと犯罪に巻き込まれてしまう可能性があるということは、しっかり認識しておく必要があるでしょう。