税理士の守秘義務について
税理士の守秘義務について解説をします。
税理士法第38条は、次のように規定します。
「税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなつた後においても、また同様とする。」
そして、この条文の解釈について、「税理士法基本通達」は、次のように規定しています。
(正当な理由)
38-1 法第38条に規定する「正当な理由」とは、本人の許諾又は法令に基づく義務があることをいうものとする。
(税理士業務に関し知り得た秘密)
38-2 法第38条に規定する「税理士業務に関して知り得た秘密」とは、税理士業務を行うに当たって、依頼人の陳述又は自己の判断によって知り得た事実で、一般に知られていない事項及び当該事実の関係者が他言を禁じた事項をいうものとする。
(窃用)
38-3 法第38条に規定する「窃用」とは、自ら又は第三者のために利用することをいうものとする。
(使用者である税理士等が所属税理士から知り得た事項)
38-4 規則第1条の2第2項、第6項及び第7項の規定により使用者である税理士又は使用者である税理士法人の社員税理士が所属税理士から知り得た事項は、法第38条に規定する「税理士業務に関して知り得た秘密」に含まれることに留意する。
では、税理士が守秘義務に違反した場合には、どうなるでしょうか。
まず、一つ目は、懲戒処分です。
そして、二つ目は、刑罰です。
税理士法第59条により、2年以下の懲役又は百万円以下の罰金が定められています。
重いですね。
次のような場合には、税理士は、どうしたら良いでしょうか。
・警察から問い合わせがあった場合に、確定申告書等を開示してよいか?
・会社の業務に関与していない社長の妻から、確定申告書等の開示を要求されたら?
・代表権のない取締役から、総勘定元帳の開示を求められたら?
個別の事情に応じて判断しなければなりません。
過去には、弁護士法23条照会に対して、クライアントの情報を開示した行為が守秘義務違反かどうかが争われた事例があります。
(大阪高裁平成26年8月28日判決)
税理士事務所のスタッフも、税理士法上、守秘義務を負担し、違反には罰則があります。
税理士法54条
「税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者でなくなつた後においても、また同様とする。」
入社時の誓約書や就業規則などで、工夫が必要でしょう。
詳しくは、ご相談ください。⇒相談窓口