東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は30冊以上あります。
TV出演、取材、出版、研修、セミナー講師を受け付けています。
メニュー
みらい総合法律事務所
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は30冊以上あります。
TV出演、取材、出版、研修、セミナー講師を受け付けています。

脱税で告発されたら?(査察、マルサ)|弁護士・税理士が包括的網羅的に解説

2019年02月18日

国税庁の発表によると、平成29年度において東京国税局査察部による査察調査に着手した件数は、20件ということです。

このうち、平成29年度以前に調査着手した査察事案について、平成29年度中に脱税の罪で検察庁に告発した件数は15件です。

ということは、調査着手した案件で、脱税の告発率は78.9%でした。

そして、平成29年度に処理した査察事案に係る脱税額は総額で12億円。

平均すると、告発した事案1件当たりの脱税額は6600万円ということです。以前は、1億円以上と言われていましたが、だんだんと下がってきています。

気になる脱税の有罪率ですが、平成27年、28年、29年は、有罪率は100%です。全件有罪です。

実刑判決は、平成28年に2人ということです。

平成30年度には、告発件数は35件と増加しました。

脱税総額は47億円です。

有罪率は100%。

平成30年の実刑判決は、3人です。

さらに詳しくは、国税庁のホームページでご確認ください。

【参考記事】国税庁
https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/release/h30/sasatsu/pdf/01.pdf

脱税で査察調査が開始された場合には、高い確率で刑事告発され、起訴された場合には、非常に高い有罪確率になる、ということがわかります。

この記事では、脱税について、包括的かつ網羅的に解説していきます。

脱税とは?

脱税の罪は、各税法に定められています。

代表的なものは、所得税法と法人税法でしょう。

所得税法238条1項
偽りその他不正の行為により、・・・・所得税の額・・・につき所得税を免れ、又は・・・所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

罰金は、1000万円が上限とされていますが、脱税額が1000万円を超えるときは、脱税額まで増額されます。

法人税法159条1項
偽りその他不正の行為により、・・・法人税を免れ、又は・・・法人税の還付を受けた場合には、法人の代表者・・・、代理人、使用人その他の従業者・・・でその違反行為をした者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

罰金の増額については、所得税と同じです。

このように、脱税の罪は、「偽りその他不正の行為により」「税を免れ」た場合に成立することになります。

最高裁昭和42年11月8日判決(刑集21巻9号1197頁)は、「詐欺その他不正の行為とは、逋脱の意図をもって、その手段として税の賦課徴収を不能もしくは著しく困難ならしめるようななんらかの偽計その他の工作を行うことをいうものと解するのを相当とする」と判示しています。

このほか、申告書不提出の罪、租税不納付の罪、虚偽申告の罪などもあります。

単純無申告犯=正当な理由がなくて提出期限までに申告書を提出しない場合(法人税法160条)。

刑罰は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金。

申告書不提出犯=故意に提出期限までに申告書を提出しない場合(法人税法159条3項、4項)。

刑罰は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金に処し、またはこれを併科(罰金につき4項加重あり)。

などです。

脱税の犯行の手口としては、売上除外、架空経費の計上などが典型的なものです。

脱税犯の成立に必要な故意とは?

脱税犯は故意犯なので、犯罪が成立するには故意であることが必要とされます。

具体的には、以下の認識が必要となります。

①納税義務の存在の認識

所得があり、かつ納税する義務があるという事実を認識していること。

②偽り、その他不正の行為の認識

自分の行為が、偽り、その他不正の行為であることを認識していること。

③逋(ほ)脱の結果についての認識

所得が存在するにもかかわらず、これに対する正当な税額の一部、または全部を免れる結果になることを認識していること。

ちなみに、「逋脱」とは裁判実務上の慣用的な用法で、ここでは単純に、税をのがれること=脱税=逋脱、と理解してください。

また、報道などを見ていると「申告漏れ」という言葉を目にすることがあります。

では、「申告漏れ」と「所得隠し」の違いは何かというと、過失か故意かの違いということになります。

たとえば、計算の誤りによって所得が少なくなっていた場合、税法の解釈の誤りによる過少申告、所得を得ていることを知らなかった場合、申告手続きが遅れてしまった場合など意図的ではない場合は、申告漏れとして取り扱われます。

【動画解説】バレなければ平気?経営者が陥る脱税の罪と罠

マルサの調査


脱税事件は、国税局の査察部(通称「マルサ」)による調査から始まるのが通常です。

マルサは、納税者にバレないように調査を進め、証拠を収集していきます。

当該納税者の預金、貯金関係はもちろん、関連会社や取引先についても調査し、長期間をかけて張り込み、尾行等の内定調査を行います。

そして、脱税の疑いが濃厚になったところで、会社や自宅、関連先に同時にガサ入れに入ります。

そこで、帳簿やパソコンその他関連資料をごっそりと持って行ってしまいます。

また、金庫その他に脱税した現金や金、その他の財産が隠されていないかどうか探すことになります。

これを通称「たまり」と言います。

脱税した場合、そのお金を預金などに入れておくとすぐにバレてしまうので、隠しておくことが多いのです。そして、その「たまり」は、脱税の有力な証拠ともなります。

収入が決まっているのに、それに見合わない多額の資産があるのは、脱税した証拠ではないか、ということです。

この調査のことを「租税犯則調査」といいます。

以前は、手続が国税犯則取締法に規定してありましたが、平成29年度税制改正で国税通則法に手続きに関する規定が移されました。

租税職員は、犯則調査のため、犯則嫌疑者や参考人に、質問し、物件を検査し、物件を領置することができます(通則法131条1項)。

裁判所の許可を得て、
・臨検(一定の場所に立ち入ること)、
・捜索(犯則嫌疑者の身体や所持品を調べ、住居その他の場所に立ち入って探索すること)、
・差押えをすることができます(通則法132条1項)。

裁判所の許可を得て行われるもので、強制力があります。したがって、この強制調査は拒否することができません。

そして、調査中については、何人に対しても、許可を受けないでその場所に出入りすることを禁止することができることとされています(通則法149条)。

その後、マルサによる取り調べが長期間続き(平均すると6ヶ月程度でしょうか)、調書を取られ、刑事処分相当、ということになると、刑事告発されることになります。

ところで、通常の所轄税務署による税務調査では、「質問検査権」というものが定められており、質問に答えなかったり、検査妨害等をした 場合には、罰則が定められています。

租税反則調査においても、「質問検査権」が定められていますが、租税犯則調査における質問検査に対する検査妨害等については、罰則規定が平成29年度改正で削除されました。

これは、犯則調査は、実質的には刑事手続に準ずる手続であるから、憲法38条1項の黙秘権の保障が及ぶことが考慮されたものと考えられています。

脱税で告発された時の弁護士へのご相談は、こちらから。⇒脱税の弁護士相談

脱税事件における告発・起訴の目安

以前は、刑事告発されるのは、脱税額が3年間で1億円以上というのが目安とされていたのですが、近年ではその額はどんどん下がってきています。

2011年には茨城県守谷市の金属売買・建築物解体会社の代表取締役と知人のホテル従業員が共謀して法人税約1104万円を脱税したとして逮捕されています。

なお、悪質性が高い場合は、もっと低くても告発されることがあり、不正還付を指導した人が、600万円の不正還付を指導した、として刑事告発された事例もあります。

税理士や脱税請負人などが絡んでいると、悪質事案として刑事告発されやすいです。

刑事告発されて起訴された場合、有罪率は極めて高いです。

脱税で逮捕されるか?

国税局に告発されと、事件が検察庁に引き継がれます。

刑事事件になる、ということです。検察庁の準備が整うと、検察庁に呼び出しを受けて、取り調べを受けることになります。

実は、脱税事件については、近年、逮捕されず、在宅による捜査および刑事裁判が多い傾向にあります。

しかし、安心はできません。逮捕される場合もあります。

逮捕される場合というのは、

・逃亡のおそれがある場合

・罪証隠滅のおそれがある場合

の2つです。

脱税の場合には、国税局の調査によってある程度証拠が固まっており、被疑者が自白していることが多く、証拠隠滅のおそれが比較的低いと言えるでしょう。

また、事業が継続していることも多いので、逃亡のおそれも比較的低いと言えるでしょう。

そこで、逮捕の要件を満たさない事案が多いということです。

しかし、脱税を否認しており、共犯者が複数人いて、口裏合わせをしていることが疑われたり、捜査に協力しないと、罪証隠滅のおそれがある、ということで、逮捕される場合もあるでしょう。

捜査にどこまで協力するかは、弁護士に相談しながら進めていくとよいでしょう。

脱税で告発された時の弁護士へのご相談は、こちらから。⇒脱税の弁護士相談

脱税事件での量刑は、どうやって決まるか?

脱税事件で刑事上、考慮される量刑の事情には以下の要素があります。

これらを総合的に判断し、刑の種類や程度が決められます。

ということは、私たち弁護士の関心事も以下にあり、量刑で有利になるように被告人を指導してゆくことになります。

①逋脱税額
②逋脱率
③逋脱の手段・方法
④逋脱の動機
⑤逋脱した資金の使途
⑥逋脱所得の取得原因
⑦罪証隠滅工作の有無および、その方法
⑧修正申告・納税状況
⑨経理体制の改善
⑩同種の前科・前歴

脱税が刑事事件になった時、どの程度の量刑になるか、もっと詳しく知りたい方は、以下の参考記事もご覧ください。

罰金の目安

罰金刑の場合、その額の目安は脱税額のおよそ10~30%が一般的です。

東京国税局管内で告発された脱税事件における第一審において、

平成25年度は、1件あたり犯則税額4600万円に対し、1人(社)あたり罰金額は1100万円ですから、23%

平成26年度は、1件あたり犯則税額4900万円に対し、1人(社)あたり罰金額は1200万円ですから、24%

平成27年度は、1件あたり犯則税額6400万円に対し、1人(社)あたり罰金額は1600万円ですから、25%

という結果になっています。

課される税金

本税のほかに、過少申告加算税などの各種加算税、延滞税、重加算税など多額の納税が科せられます。

特に重加算税は高率です。

国税通則法68条に定められています。

1項
第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額・・・に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

条文上の要件を分解すると、以下のようになります。

①過少申告加算税の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)
②納税者が
③その国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、
④隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していた

以上の要件を満たすと、効果として、隠ぺい又は仮装した部分に相当する税額につき、過少申告加算税に代えて、35%の割合を乗じた重加算税が課せられます。

重加算税の課税要件を知りたい方は、以下をご参照ください。
【参考記事】
重加算税の「隠ぺいし、又は仮装した」とは?
https://taniharamakoto.com/archives/3435/

また、重加算税に関する通達も参考にしてください。

各税目別に通達が出されています。

ここでは、法人税に関する事務運営指針のみ示しておきます。

【参考記事】法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)
https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/100703_02/00.htm

本来支払うべき税金に、これら加算税等と罰金を加えると、もともとの脱税額の2倍を超える金額を追加で払わなければならないケースもあります。

さらに懲役も科せられるのですから、言葉は悪いですが、脱税は割に合わない行為であるということを経営者の方には今一度認識してほしいと思います。

脱税事件は、いつ弁護士に相談すべきか?

私は弁護士資格とともに、税理士資格も持っていますので、マルサの査察の相談や脱税の相談も多く受けております。

脱税事件をいつ弁護士に相談したらよいか、についてですが、一番望ましいのは、マルサによる犯則調査が始まる前です。

できる限り早期に弁護士に相談し、脱税事件になってしまうのを回避することをおすすめします。

マルサによる犯則調査が始まってしまったら、その後は事情聴取が続いていきますので、適宜弁護士に相談しながら対応していきます。

検察庁に告発されてしまうと、刑事事件になっていきますので、後は、どのように対応するのが最も望ましい結果になるか、よく弁護士と相談しながら進めていくことになります。

脱税で告発された時の弁護士へのご相談は、こちらから。⇒脱税の弁護士相談

以下は、参考までに、過去の実際の事件の量刑です。

脱税事件:量刑ファイル001

事件の概要

舞台となったのは、レース用自動車やバイクの部品開発で知られる会社の社長(75)が元監査役と共謀し、2000(平成12)年10月期までの3年間に会社の所得約28億円を隠し、約10億円を脱税したとして、2011(平成23)年、法人税法違反罪で社長に懲役2年、法人に罰金2億4000万円が最高裁で確定していた。

2017(平成29)年4月、男性は有罪判決を不服として、東京高裁に再審請求を申し立てた。(会社も同日、さいたま地裁に再審請求)

男性は再審請求書で、「隠したとされた所得は元監査役が会社から不正に引き出したもので、自分はまったく知らなかった」と主張し、元監査役の資金流用が認められた民事訴訟の資料を新証拠として提出した。(元監査役は二審判決で懲役3年)

判決

法人税法違反
脱税額:約10億円
社長:懲役2年
監査役:懲役3年
会社:罰金2億4000万円

脱税事件:量刑ファイル002

事件の概要

葬儀会社2社の元実質経営者が、2011(平成23)年の各決算期までの3年間に、架空経費の計上などで計約3億8000万円の所得を隠し、法人税計約1億1000万円を免れたとして法人税法違反罪に問われた。東京地裁は2016年6月、被告の男(65)に対し、懲役1年6月、執行猶予4年、罰金1700万円(求刑懲役1年6月、罰金2千万円)、法人としての2社には、罰金計1050万円(求刑同1200万円)を言い渡した。

被告は、1980年代に流行したキャラクター「なめ猫」の発案者で、裁判長は判決理由の朗読後、「いくら才覚があっても、ルールを守らなければビジネスマンとしては失格です。ルールをなめてはいけません」と説諭した。

判決

法人税法違反
脱税額:約1億1000万円
社長:懲役1年6月、執行猶予5年、罰金2000万円
会社(2社):罰金計1050万円

脱税事件:量刑ファイル003

事件の概要

脱税に協力してもらう謝礼として大阪国税局職員に現金を渡したなどとして、贈賄や法人税法違反などの罪に問われた同局OBの元税理士で被告の男(63)の判決公判が大阪地裁で開かれた。

裁判所は、「税理士としての知識を悪用し、脱税工作を主導した」として懲役6年、罰金7000万円(求刑懲役8年、罰金1億円)を言い渡した。

事件が起きたのは2011(平成23)年9月。

顧問先の税務調査の日程を教わるなどした見返りに元国税局職員の被告の男(45歳・加重収賄罪などで1、2審有罪、上告中)に120万円を渡したほか、顧問先の脱税を指南するなどした。

被告側は公判で、贈賄について「謝礼として金を渡したことはない」と無罪を主張したが、裁判長は捜査段階で収賄を認めた元国税局職員の供述を「具体的で信用できる」と判断し、贈賄罪の成立を認めた。

裁判長は、顧問先に指南するなどして脱税した額は計約2億7千万円に上るとし、「税務行政の公正、社会の信頼を著しく害した」と非難した。

量刑

法人税法違反
脱税額:約2億7000万円
税理士:懲役6年、罰金7000万円

脱税事件:量刑ファイル004

事件の概要

「ハンドパワーで病気の痛みを取る」と称して資金を集めていたセミナー企画会社(福岡県)の脱税事件で、福岡地裁は法人税法違反などに問われた元社長の女(66)に対し、懲役2年(求刑・懲役3年6月)の実刑判決を言い渡した。

共犯に問われた前社長の男(60)には懲役1年8月(求刑・懲役2年6月)、元役員の女(50)には同1年4月(同・懲役2年)、法人としての同社には罰金1億5000万円(同・罰金2億6000万円)を、それぞれ言い渡した。

被告3人は、2008(平成20)年2月期~2010(平成22)年2月期の3年間で、売り上げの一部を除外し、経費を水増し請求するなどして約27億円の同社の所得を隠し、約8億円の法人税を脱税したなどとして起訴されていた。

量刑

法人税法違反
脱税額:約8億円
元社長:懲役2年
前社長:懲役1年8月
元役員:懲役1年4月
会社:罰金1億5000万円

脱税事件:量刑ファイル005

事件の概要

2010(平成22)年5月~2012(平成24)年12月にかけて、キャバクラなどの飲食店グループの従業員らの給与から源泉徴収した所得税約3億6900万円を脱税し、2010年と2011年分の消費税と地方消費税計約4千万円も脱税したとして、経営者の妻が所得税法違反や消費税法違反などの罪に問われた。

福岡地裁は2017年3月、被告(70)に対して懲役3年、執行猶予5年、罰金2千万円(求刑懲役5年、罰金1億3600万円)の判決を言い渡した。

裁判所は、「被告はグループ全体の金銭管理を統括し、経営者の夫に協力してグループにとって自由になる金を留保し、他の使途に流用する犯行に及んだ。

脱税額は高額で、厳しい非難に値する」と指摘。 一方、脱税した約4億円を完納し、関与を認めて反省している点を考慮し、懲役刑の執行を猶予した。

量刑

所得税法、消費税法違反
脱税額:所得税約3億6000万円、消費税約4000万円
経営者の妻:懲役3年、執行猶予5年、罰金2000万円
(完納済み)

脱税事件:量刑ファイル006

事件の概要

2017年5月、東京地裁は、印税収入を隠すなどして約2600万円を脱税したとして、所得税法違反の罪に問われた著述業の男(59)に、懲役1年、執行猶予4年、罰金600万円(求刑懲役1年、罰金800万円)の判決を言い渡した。

裁判所は、「個人の脱税として軽視できない規模。長期間、巧妙に秘匿工作をしており悪質だ」と述べ、離婚に備えて資金を残したかったとする被告の動機は「納税しない理由になり得ない」と指摘した。

判決によると、2011(平成23)年~2013(平成25)年、印税を米国の銀行口座に入金させて隠すなどして、所得税計約2600万円を免れた。

被告は、NHK教育テレビ(現Eテレ)の英会話番組に講師として出演していたほか、多くの著書がある。

量刑

所得税法違反
脱税額:約2600万円
個人:懲役1年、執行猶予4年、罰金600万円

脱税事件:量刑ファイル007

事件の概要

元社長は2004(平成16)年に約22億円を脱税したとして逮捕、起訴され、2008(平成20)年に懲役4年の判決が確定していた。

法人にも罰金6億円が言い渡され、その後、会社は清算した。

量刑

元社長:懲役4年
会社:罰金6億円

脱税事件:量刑ファイル008

事件の概要

2015年7月、東京地裁は、いわゆる霊感商法で得た収入を少なく申告するなどして所得税を免れたとして所得税法違反罪に問われた会社員の男(35)に対し、「納税に対する規範意識の低さは強く非難されるべきだ」として、懲役1年、執行猶予3年、罰金1300万円(求刑懲役1年、罰金1800万円)を言い渡した。

被告は起訴事実を認めており、裁判官は「本税や延滞税を納付し、加算税についても今後納付していくと述べており、反省もしている」として執行猶予とした。

判決によると、被告は実際の所得金額の一部しか申告しない「つまみ申告」の手口などで、2011(平成23)年と2012(平成24年)の個人所得計約1億6500万円を隠したとしている。

量刑

所得税法違反
脱税額:不明。所得隠し約1億6500万円
個人:懲役1年、執行猶予3年、罰金1300万円
(完納済み)

脱税事件:量刑ファイル009

事件の概要

さいたま地裁は2015年6月、低額宿泊所の入居者から生活保護費を搾取する、いわゆる「貧困ビジネス」で得た所得から約6184万円を脱税したとして、所得税法違反罪に問われた宿泊所運営者で元機械製造会社社長の男(73)に対し、懲役1年6月、執行猶予3年、罰金1500万円(求刑・懲役1年6月、罰金2000万円)を言い渡した。

裁判長は、「被告の脱税率が99%を上回り、国の課税権を著しく侵害している」と指摘したが、前科がなく事実関係を争わずに反省していることなどを執行猶予の理由とした。

判決などによると、被告は2009(平成21)年~2010(平成22)年に宿泊所の運営による所得が計約1億6900万円あったにもかかわらず、その大半を知人や親族名義の複数口座に預金するなどして隠し、所得税計約6184万円を免れたとしている。

量刑

所得税法違反
脱税額:約6184万円
個人:懲役1年6月、執行猶予3年、罰金1500万円

脱税事件:量刑ファイル010

事件の概要

大阪地裁は2017年1月、和歌山県の社会福祉法人への寄付を装い、相続税約4億9000万円を脱税したとして相続税法違反罪などに問われた元税理士の男(64)に対し、「遺言書を偽造するなど犯行は計画的で悪質」として、懲役3年、執行猶予4年、罰金800万円(求刑懲役3年、罰金1000万円)を言い渡した。

また、大阪地裁は2017年5月、共謀した和歌山県議の男(58)に対し、「立場と人脈を利用して寄付を受け入れさせ、脱税に重要な役割を果たした」として、懲役1年6月、執行猶予3年、罰金500万円(求刑・懲役1年6月、罰金500万円)を言い渡した。

被告は、「正当な寄付だと考えていた」と無罪を主張したが、裁判長は「相続税対策と知った上で協力した」と指摘し、報酬として計900万円を受け取ったと認定した。

判決によると、この事件は、元税理士の男や和歌山県議の男が、死亡した兄の遺産を相続した男(73歳・相続税法違反罪などで起訴、控訴中)ら5人と共謀して、2014(平成26)年9月、約10億5000万円の遺産のうち約8億5千万円を和歌山県日高川町の社会福祉法人に寄付したように装い、相続税約4億9千万円を不正に免れたというもの。

量刑

相続税法違反
脱税額:約4億9000万円
元税理士:懲役3年、執行猶予4年、罰金800万円
和歌山県議:懲役1年6月、執行猶予3年、罰金500万円

脱税で告発された時の弁護士へのご相談は、こちらから。⇒脱税の弁護士相談