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市長と副市長の賭けマージャンは犯罪になるか?


2016年12月28日

今回は、現役の市長と副市長が市役所の開庁中に賭け事をしていたという報道について法律解説します。

この行為、犯罪になる可能性はあるのでしょうか?

「飯塚市長、賭けマージャン 平日昼に、副市長と」(2016年12月22日 西日本新聞)

福岡県飯塚市の市長と副市長が、平日昼に市庁舎を離れ、賭けマージャンを繰り返していたことがわかったようです。

新聞社の取材に対し、市長は、「市長になってから行っていた。何回かはわからない。開庁中に(役所を)抜け出してマージャンをしていたのには道義的責任がある」と回答。

また、副市長は、平日午後の公務が入っていない時、秘書に「昼から休む」と告げてマージャンを楽しんでおり、「決裁が滞ることはなく、公務に支障はなかったが、道義的責任は残る」と話しているということです。

報道によると経緯は次の通りです。

・市長は地元食品メーカーの社長から2006年に初当選(現在、3期目)。副市長は市財務部長を経て2010年から現職

・市長は就任以降の約10年間、副市長は数年前から市内にある元店舗に訪れており、店は2人が来る時だけ開いていた。

・メンバーには、2017年4月に市施設の指定管理者となる事業者の社長も含まれていた。市長と副市長とは以前からの知り合いで、「指定の口利きをお願いしたことは一切ない」と話している。

・今年に入り、副市長が面識のない人物から自身が店に出入りする画像を提示され、「善後策を福岡市内のホテルで考えましょう」と迫られたため、飯塚署に相談していた。金銭的な要求などはなかったという。

・市長は、会見で記者から賭けマージャンの違法性を指摘されたところ、「金を賭けずにマージャンをする人が世の中に何%いるのか。(賭けることを認めないと)マージャン人口が減るのでは」、「違法である可能性があることはわかっているが範囲があり、今回は許される範囲内だと思う」と強弁。
また、副市長は、「ゲーム感覚だった。ゴルフでチョコレートを賭けるようなもの」、「平日の開庁時間に賭けマージャンをしたことは道義的に責任がある。ただ、楽しみは何かないと。違法というのは違うと思う」と述べ、2人とも賭けを正当化するかのような発言もあった。

・賭けのレートは、「大きく動いても1日に1万~1万2000円程度。社会通念上許される範囲だと思っている」、「メンバーである知人には便宜供与を図ったことは一切ない」、「急に辞めるのは無責任だ。自分の任期はぴしっと(やる)」と市長が発言。

・ところが、12月26日の定例記者会見では一転。2人とも発言を撤回し、謝罪。市政治倫理審査会を年明けに設け、辞職を勧告された場合は従うと発言した。
今回の賭けマージャンが賭博罪に該当するか、どうか、検討してみましょう。

「刑法」
第185条(賭博)
賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
ポイントとなるのは、「一時の娯楽に供する物」です。

判例や通説では、一時の娯楽に供する物とは、食事、飲み物、お菓子、タバコなど、その場で消費してしまうような物のことをいいます。

厳密にいえば、法律では1円でも賭けをすれば違法です。
「金銭そのものは、一時の娯楽に供する物とはいえない」とする判例もあります。(最判昭和23年10月7日刑集2巻11号1289頁)

したがって、判例の立場からすると、今回の賭けマージャンは、賭博罪が成立する、ということになるでしょう。

ただ、一般的には少額の金銭を賭けている分には、警察が動くことは少ないでしょう。

そうであるからといって、賭けマージャンが許されるわけではありません。

この犯罪が守ろうとしているのは、国民一般の健全な勤労観念や国民経済等の公益ですから、それらを損なわないような明確な金額など、一定の線引きも必要ではないか、と思います。

テレビ朝日「スーパーJチャンネル」出演


2016年12月25日

12月22日放送のテレビ朝日「スーパーJチャンネル」から取材を受け、写真と電話出演しました。

電話出演というのは、テレビ局から電話がかかってきて、「この問題について、どうお考えですか?」と質問されたことに回答し、それが録音されて、テレビ放送で利用されるものです。

明解にわかりやすく回答する、というのがポイントとなります。

馬(ポニー)が渋谷の道路を走った件。犯罪?


2016年12月16日

今回は、馬が渋谷の街を爆走!? という「事件」について法律解説します。

映画やTVドラマのロケではないようです。
一体、何が起きたのでしょうか?

「“道路をポニーが走っている” 渋谷でミニチュアホース脱走…捕獲、けが人なし」(2016年12月16日 産経ニュース)

事件が起きたのは、12月15日午後7時頃。

東京都渋谷区のJR恵比寿駅近くで、複数の通行人から「ポニーが道路を走っている」との110番通報があり、渋谷署の警察官が捜索したところ、約15分後に駅から1キロ離れた国学院大学渋谷キャンパス内で発見され、捕獲されたということです。

報道によると、街を疾走したポニーは3歳で、体高約1.2メートルのオスのミニチュアホース。
渋谷区内のペットショップのおりから逃げ出したようで、連絡を受けた店員が連れて帰ったということです。

発見時、ミニチュアホースはおとなしく草を食べており、ケガ人はいなかったということです。

彼も自由になりたかったのでしょうか? 気持ちはわかります。
何はともあれ、ケガ人も逮捕者もいなかったのでよかったですね。

今回は以上です。
というわけにはいきませんね、法律解説します!

じつは、動物の逃走に関する法律もちゃんとあります。

まずは、条文を見てみましょう。

「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

三十 人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた者

※拘留=受刑者を1日以上30日未満で刑事施設に収容する刑罰
科料=1000円以上、1万円未満の金銭を強制的に徴収する刑罰

軽犯罪法は、軽微な33の秩序違反行為について規定しているもので、もともとは1908(明治41)年に施行された「警察犯処罰令」が前身の法律です。

警察犯処罰令は、1948(昭和23)年に軽犯罪法が施行されたのに伴って廃止されています。

さて、条文にあるように、この罪でポイントとなるのは次の3点です。

①犬やその他の動物とは?
②けしかけるとは?
③馬や牛を驚かせるとは?

まず、どんな動物が該当するのかというと、前段に犬その他の動物とあるように特に種類は限定されません。

「けしかける」とは、相手をおだてたり、そそのかしたりして自分の思う通りのことをさせる、あるいは相手を攻撃させるという意味です。

つまり、どんな動物でも、けしかけることで人や家畜に危害を及ぼすのであれば、けしかけた人が罪に問われるわけです。

たとえば、自分が飼っている犬をけしかけて人や他の飼い犬などを襲わせた場合などが該当します。

ところで、条文の後段に「馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた者」とあります。

馬や牛は、通常は人間に危害を加えるような動物ではありませんが、特に馬などは敏感で臆病なため、棒などで突く、大声をあげる、物を投げて当てるなどして驚かせれば、当然、逃げて走り出し危険な状態になってしまうでしょう。

今回の事件は、この後段に該当する可能性があったわけですが、ケガ人はいなく、警察官に見つかった時はおとなしく草を食べていたということで、ペットショップで驚かされたり、虐待されたという事実もないようなので、お咎めなしということになったのだと思います。

仮に、ミニチュアホースが暴れて人にケガをさせた場合、飼い主は「過失傷害罪」(刑法第209条)、死亡させてしまえば「過失致死罪」(刑法第210条)に問われる可能性があります。
ペットショップのように業務上の過失であれば、「業務上過失致死傷罪」(刑法第211条)に問われる可能性もあります。
馬に罪はないでしょうし、今回は大事に至らなくてよかったですが、いずれにしても、飼い犬のリードは離さない、飼い馬の手綱はしっかり握っておくことが大切です。

世の奥様方であれば、旦那の手綱はキュッと締めて、財布のひももしっかり締めておけば完璧でしょう。

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