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暴力団が自動車保険加入OKにっ!?
2014年09月01日
2014年9月1日本日付のニュースによると、損害保険各社は、暴力団関係者が自動車保険に加入できるようにする、と発表した。
どういうことか?
昨年2014年11月4日のニュースでは、損害保険各社は、暴力団排除条例を受けて、暴力団関係者には、一切自動車保険に加入できないようする、と発表していた。
その方針を180度転換する、ということである。
なぜ、そのようなことになるのか説明したい。
日本では、すでに47都道府県全てに暴力団排除条例が施行されており、損害保険会社を含め、企業は、暴力団に経済的利益を与えることが禁止されている。損保会社が暴力団関係者と保険契約を締結することを認めると、保険事故があると、暴力団に保険金が支払われる可能性がある。
これは、暴力団に経済的利益を与えることになるため、自動車保険への加入を認めない、と判断したものだった。
しかし、その時、ブログに書いたように、暴力団に自動車保険加入を認めないと、暴力団保有、あるいは暴力団の運転する自動車にはねられた交通事故被害者が悲惨な目にあってしまう、ということだ。
https://taniharamakoto.com/archives/1203
改めて説明するが、損保会社が、暴力団との自動車保険契約を拒絶すると、暴力団関係者保有の自動車は無保険状態(自賠責だけ)となる。
自賠責保険の金額は、たとえば、死亡の場合は、最高3,000万円である。
そこで、仮に、40歳男性で家族が妻と子供1人、年収が800万円という例で、死亡事故の損害賠償金を算出してみたい。
この場合、概算で計算すると、1億1150万円が、損害賠償額となる。
この損害賠償額は、被害者が今後働いて得られるお金や慰謝料など、被害者の遺族が当然もらえてしかるべき賠償金である。
しかし、任意保険がないとなると、自賠責保険で、3,000万円しかもらえない。
残りの8,150万円を暴力団に請求し、払ってもらえるだろうか?
これでは交通事故被害者は浮かばれないだろう。
そこで、今回、損保各社は、被害者救済を重視して、暴力団の自動車保険加入を認めることにした、ということだ。
大変評価できる対応である。金融庁も認めている、ということである。
では、この対応は、暴力団排除条例に違反しているのであろうか?
私はそうは思わない。
暴力団排除条例では、暴力団の活動を助長する目的で利益を提供してはならない旨規定している。
暴力団関係者が事故を起こした場合、損保会社から賠償金が支払われるが、それは、対人賠償の場合には被害者に直接支払われることになる。
暴力団関係者に支払われるわけではないし、賠償金支払によって暴力団関係者に利益を供与しているわけではない。また、これによって暴力団の活動を助長することもない。
したがって、対人賠償によって損保会社が被害者に賠償金が支払われたからといって、暴力団排除条例の趣旨を没却することはないと考えられる。
ただし、自動車保険の中には、被保険者などに支払われる保険金もある。
この点については、被害者救済の理念は働かず、かつ暴力団関係者に直接保険金が支払われる可能性があるので、取り扱いには注意が必要であろう。
もちろん、損保会社がこのような取り扱いを始めたからといって、暴力団関係者が任意保険に加入するかどうかはわからない。
暴力関係者の自動車が任意保険未加入であることを想定して、被害者が取り得る手段がある。
それは、相手が無保険でも保険金が支払われるようにしておくことである。
自分(同居の親族も)の自動車保険を確認しよう。「無保険者傷害特約」がついていれば、相手が任意保険未加入であっても損害賠償額に相当する保険金が被害者に支払われる。
「人身傷害補償特約」も有効だ。
「弁護士費用特約」も必須であると考える。
誰も予想していないところで交通事故は発生する。
自分が交通事故に遭うことを予想できる人などいないのである。
その時のため、今一度、自分の自動車保険を見直してみることをおすすめする。
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暴力団は、自動車保険に入れない!では、被害者は!?
本日付の日経新聞によると、大手損害保険会社は、暴力団関係者が保険を契約できないようにするそうだ。 暴力団関係者と判明する時期は、①契約時、②契約中、の2段階がある。
契約時に暴力団関係者と判明した場合は、これまでも保険契約を断ってきた。しかし、契約中に暴力団関係者と判明した場合には、中途解約が難しく、更新時まで待って、更新を拒絶したという。
そこで、保険約款を変更して、契約途中で暴力団関係者と判明した場合もすぐに保険契約を解除できるようにする、ということだ。
日本では、すでに47都道府県全てに暴力団排除条例が施行されており、企業は、暴力団に経済的利益を与えることが禁止されている。
損保会社が暴力団関係者と保険契約を締結し、保険事故があると、暴力団に保険金が支払われる。これは、暴力団に経済的利益を与えることになるため、今回の動きは、条例や今回のみずほ銀行の騒動を踏まえた当然の行動といえる。
しかし、私は、このような措置によって、自動車事故の被害者に生ずる不利益について心配せざるを得ない。
つまり、損保会社が、暴力団との自動車保険契約を拒絶し、または解除することによって、暴力団関係者は、自動車に関し、任意保険が無保険状態となる。
もちろん、自賠責保険の加入は義務づけられているが、同法の保護は、被害者救済のための最低限の保障を定めるにすぎない。
自賠責保険の金額を超える損害賠償金については、事実上被害者が泣き寝入りする結果となるのではないか、ということである。
自賠責保険の金額は、たとえば、死亡の場合は、最高3,000万円である。
そこで、仮に、40歳男性で年収800万円、家族が妻と子供1人、という例で、死亡事故の損害賠償金を算出してみたい。
この場合、概算で、1億1150万円が、損害賠償額となる。
この損害賠償額は、被害者が今後働いて得られるお金や慰謝料など、被害者の遺族が当然もらえてしかるべき賠償金である。
自賠責保険で、3,000万円をもらったとしても、残りの8,150万円が回収不能となってしまうおそれがあるのである。
損保各社は、契約途中で暴力団関係者と判明した場合は、その後の事故でも保険金を支払う、というが、そのうち暴力団関係者の全ては自動車保険に加入できなくなってしまう。
その場合の保護はない。
そのあたりも考えて、政策的保護も検討すべきである。
なお、暴力関係者の自動車が任意保険未加入であることを想定して、被害者が取り得る手段がある。
それは、自分に保険をかけておくことである。
自分の自動車保険に、「無保険者傷害特約」がついていれば、相手が任意保険未加入であっても損害賠償額に相当する保険金が被害者に支払われる。
「人身傷害補償特約」も有効だ。
自動車事故は、私たちの想定外の時に被害に遭う。
想定外の事故の際に身を守るために、自分の保険を見直してみるのもいいだろう。
「交通事故の被害者が知らないと損する知識」の小冊子無料ダウンロードできます。
http://www.jiko-sos.jp/report/