東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
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弁護士法律解説 リーガルアイ

 

自転車で遺失物等横領罪!?


2016年5月17日

お魚くわえたドラ猫ならぬ、自転車を担いだ男を追いかけて逮捕したという事件がありました。

まるで、漫画のようなシチュエーションです…。

「コンビニ客お手柄 窃盗犯を追跡、実況中継で逮捕」(2016年5月16日 神戸新聞)

兵庫県尼崎市のコンビニエンスストア駐輪場で、自転車を担いで持ち去ろうとしている男を男性客が発見。

110番した後、男性客は電話をつないだまま尾行を開始。

「白い自転車の後輪を持ち上げて押している」「今、公園にいる」などと実況中継しながら、約230メートル離れた公園まで男を追跡したところで、駆けつけた尼崎北署の警察官が占有離脱物横領の疑いで逮捕したようです。

逮捕されたのは住所不定、無職の男(63)で、同署によると、「ホームレスの友人に取ってきてと言われた」と容疑を認めているということです。
他人の物を領得すると、横領罪になります。
領得とは、自己または第三者のものとする目的で他人の物を不法に取得することです。

横領罪には、「単純横領罪」(刑法第252条)、「業務上横領罪」(刑法第253条)、「遺失物等(占有離脱物)横領罪」(刑法第252条)があります。

では、今回は占有離脱物横領について条文を見てみましょう。

「刑法」
第254条(遺失物等横領)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
条文にあるように、遺失物等(占有離脱物)横領罪の対象になるのは、遺失物、漂流物、その他占有を離れた他人の物です。

・遺失物……占有者の意思によらないで、その占有を離れ、誰の占有にも属さないもの。
・漂流物……水面、または水中に存在するもの。
今回の事件では、男が担いで持ち去ろうとしたのは所有者のわからない放置自転車だったのでしょう。

仮に、奪ったのがコンビニのお客さんの自転車だったなら、一時的にコンビニに寄っているだけで、まだお客さんの「占有を離れた」とは言えないでしょうから、「窃盗罪」(刑法第235条)で10年以下の懲役又は50万円以下の罰金になるでしょう。

また、人が乗っている自転車を暴行や脅迫を用いてひったくったような場合は「強盗罪」(刑法第236条)で5年以上の有期懲役になる可能性があります。

ところで、どんなものを横領すると遺失物等(占有離脱物)横領罪になるのでしょうか。
以下に事例をあげます。

・窃盗犯人が乗り捨てた自転車(東京高判昭34・8・15高集12-8-845)
・逃走中の窃盗犯が落としていった盗品(最判昭23・12・24集2-14-1877)
・紙屑屋が購入した紙屑の中に混入していた現金(大判明29・4・14録2-
4-33)
・集配人が誤配した郵便物(大判大6・10・15録23-1113)
・生けすから逃げ出した鯉(最決昭56・2・20集35-1-15)
※逃げた家畜なども同様
・古墳内の宝石、鏡、刀剣(大判昭8・3・9集12-232、大判昭9・6・13集13-747)

では、次のような一見、占有者がいないような物はどうでしょうか。

・旅館内に置き忘れた財布(大判大8・4・4録25-382)
・公衆浴場内の遺留品(大判大12・7・3集2-624)
・自動車会社の営業所内のゴミ箱の上に遺留されていた靴(高松高判昭25・6・2判特11-204)
・ゴルフ場内の池に打ち込んだロストボール(最決昭62・4・10集41-3-221)

じつはこれらの場合、それぞれ旅館主、公衆浴場主、営業所管理者、ゴルフ場管理者等の占有に属すると判断されます。
よって、横領罪ではなく窃盗罪が適用されるということになります。
いずれにせよ、人の物を勝手に担いで手に入れようとしてはいけません。
担ぐなら、験(げん)や神輿(みこし)にしておきましょう。

自転車の危険行為で6521人が摘発!


2016年1月14日

2015年の6月1日から11月末日までの、自転車運転での危険行為の摘発件数と、その内訳が公表されたので解説します。

「自転車の危険行為、半年で6521件…4人講習」(2016年1月12日 読売新聞)

警察庁は、2015年6月1日に施行された「改正道路交通法」で新設された、自転車運転の危険行為での摘発件数について、11月末までの数字を取りまとめ公表しました。

全国の摘発件数は、計6521件。
そのうち、項目別でもっとも多かったのは「信号無視」で2790件、次いで「遮断踏切への立ち入り」が1659件、「安全運転義務違反」(イヤホンを装着しながらの運転や傘差し運転など)が715件、「一時不停止」が536件、「ブレーキ不良」が312件の順。
また、「酒酔い運転」は85件、歩道運転などの「通行区分違反」は111件となっています。

年代別では、20歳代が最も多く1628件、次いで30歳代が1099件、10歳代が1012件、40歳代が918件と続いています。

なお、2回摘発されて安全講習を受けたのは大阪府が3人、岡山県が1人だったということです。
自転車での危険運転による重大事故が頻発していることから、2015年6月1日に「改正道路交通法」が施行されています。
これは、自転車運転による違反の取り締まり強化と事故抑制を目指して、悪質な自転車運転者に対して安全講習の義務化を盛り込んだものです。

詳しい解説はこちら⇒
「自転車の危険運転に安全講習義務づけに」
http://taniharamakoto.com/archives/1854

自転車での危険行為に規定されているのは以下の14の行為です(道路交通法施行令41条の3)。

・信号無視(法7条)
・遮断機が下りた踏切への立ち入り(法33条2項)
・安全運転義務違反(携帯電話の使用やイヤホンを装着しながらの運転、傘差し運転など)(法70条)
・一時停止違反(法43条)
・ブレーキ不良自転車の運転(法63条の9第1項)
・酒酔い運転(法65条1項)
・歩道での歩行者妨害(法63条の4第2項)
・通行区分違反(法17条1項、4項または6項)
・通行禁止違反(法8条1項)
・歩行者専用道路での車両の徐行違反(法9条)
・路側帯の歩行者通行妨害(法17条の2第2項)
・交差点での安全進行義務違反(法36条)
・交差点での優先道路通行車の妨害(法37条)
・環状交差点での安全進行義務違反(法37条の2)

これらの危険行為をした14歳以上の運転者は、まず警察官から指導・警告を受け、交通違反切符を交付されます。

さらに、3年以内に交通違反切符を2回以上交付された場合、安全講習の対象となります。
安全講習を受講しないと、5万円以下の罰金が科せられます。

「前科」がついてしまう、ということですね。

ところで、このような道路交通法の改正は違反者を罰するのは当然のことですが、自転車による交通事故の抑制・減少のためであることを忘れてはいけません。

自転車は大変便利な乗り物です。

これ以上、規制が増えないようにするためにも、きちんとルールを守って安全運転していただきたいと思います。

自転車の飲酒運転で車の免許が免停に!?


2015年7月2日

酒に酔って自転車に乗った男性が免停になったようです。

もちろん、自転車の免許じゃありませんよ、自動車免許です。
一体、どういうことでしょうか?

「自転車の飲酒事故で免停=自動車運転も危険と判断-都公安委」(2015年6月25日 時事ドットコム)

東京都公安委員会は、自転車の飲酒運転でバイクと衝突し、バイクの男性を死亡させたとして重過失致死容疑で書類送検されたアルバイト男性(30)について、道路交通法に基づき運転免許を180日間停止する処分にしました。

事故が起きたのは、2015年1月22日午前0時50分頃。
現場は、杉並区上高井戸の甲州街道。

酒を飲んで自転車を運転して斜め横断した男性が、走行してきたバイクと衝突。
バイクを運転していた男性(36)を転倒させ、死亡させたということです。

警視庁は6月1日に書類送検していましたが、都公安委員会と警視庁は飲酒自転車運転の悪質性と、被害者が死亡したという結果の重大性を考慮し、「自動車の運転でも事故を起こす恐れがある」と判断したようです。

自転車の危険運転を理由に、自動車運転免許の停止処分が出されるのは警視庁で2例目だということです。
自転車の飲酒運転で、自動車免許を停止されるとは大袈裟じゃないかと思う人もいるかもしれませんが、これは法律で規定されています。

まず、自転車であっても飲酒運転は道路交通法違反となります。

「道路交通法」
第65条(酒気帯び運転等の禁止)
1.何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
第117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

1.第65条第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。)にあったもの。
詳しい解説はこちら⇒「自転車でも飲酒運転は禁止です」
http://taniharamakoto.com/archives/1961

次に、免許停止に関する条文を見てみましょう。

第103条(免許の取消し、停止等)
1.免許(仮免許を除く)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は6月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。(以下、省略)
次にあげる人や行為などが対象となります。

・幻覚の症状を伴う精神病(政令で定めるもの)
・発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気(政令で定めるもの)
・上記以外で自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの
・認知症
・目が見えないこと、その他自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある身体の障害として政令で定めるものが生じている者
・アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
・重大違反唆し等をしたとき(飲酒運転や救護義務違反、共同危険行為などの重大違反行為を、そそのかしてやらせること)
・道路外致死傷をしたとき(道路外とは、工場の構内や港湾内の埠頭、駐車場などの場所をいう)
・運転が、著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき
など。

今回は、報道からは、詳しくわかりませんが、「運転が、著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき」を適用したのでしょうか。
近年、自転車の危険・悪質運転への罰則が厳しくなっています。

2014年9月には、兵庫県西宮市で自転車に乗って歩行者に衝突して、そのまま立ち去ったとして市職員の男性が180日間の自動車免許停止処分を受けています。

また、愛知県警は2015年6月1日から、自転車の飲酒運転をした人で自動車免許を持っている場合は、30~180日の期間の範囲で免許停止とするルールを運用していくとしています。

自転車も免許制にするべきだという人もいますが、それはともかく、安易な気持ちで自転車に乗ることが重大事故を引き起こす原因にもなることは確かですから、くれぐれも用心して自転車に乗ってほしいと思います。

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