東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
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弁護士法律解説 リーガルアイ

 

迷惑チラシのポスティングを禁止できるか?


2013年11月29日




知らぬ間に、部屋中にいらないものがたまっている、気がつくと会社の机の上にも資料やコピーがたまって、いくつもの山脈ができている…。

そんな人、けっこう多いのではないでしょうか?

結局、自分でためてしまったものは、自分で片付けるしかありません。「整理術」に関する本も世の中にたくさんあります。

しかし、自分に関係のないところで、知らないうちにたまっていく厄介なものあります。

ポストに投函されているチラシも、そのひとつでしょう。

不動産、飲食店、通信販売、貸金、探偵、宅配サービス、不用品回収からピンクチラシまで、日々さまざまなチラシがポスティングされています。

整理しなければ、すぐにポストいっぱいにたまってしまって邪魔、他の郵便物も混ざっているから仕分けするのが面倒、そもそも頼んでもいないのに勝手に入れられて不愉快、など鬱陶しく感じている人も多いでしょう。

「チラシお断り」と張り紙しても、ほとんど効果はなし……では、こうしたチラシのポスティングを法的に拒否する、または取り締まる法律はあるのでしょうか?

軽犯罪法というものがあります。
これは、さまざまな軽微な秩序違反行為に対して拘留(1日以上30日未満で刑事施設に収容)、科料(1,000円以上1万円未満)に処する法律です。

33の行為が罪として定められており、この中の32番目に、ポスティングに適用可能な規定があります。

軽犯罪法 第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

32.入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入った者

つまり、マンションの入り口などに「チラシ投函のための立入お断り」などの張り紙をしておけば、「入ることを禁じた場所」になり、入ってしまうと軽犯罪法1条32号により、軽犯罪法違反となります。

実際、居住者以外の立入を禁じたマンション等にちらし配布の目的で立ち入った場合にも同様の理由によって本号違反が成立するとされた例があるようです(東京簡裁略式命令平成4年8月18日公刊物未搭載のため未確認・出典「軽犯罪法101問」立花書房)。

また、さく等に囲まれた建造物の敷地に侵入する行為は「住居侵入罪」に該当します。

刑法 第130条(住居侵入等)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

ちなみに、ピンクチラシなどは、各地方自治体の迷惑行為防止条例や青少年保護育成条例で規制されています。

たとえば、東京都の迷惑防止条例では、違反者は50万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられます。

政治ビラについては、過去の判例で、住民からの再三にわたる投函禁止要請を無視し、思想を強要するビラを投函し続けた男に対し、この状況下においては住居侵入罪に当たるとの判決が下ったものがあります。

したがって、ポスティングをやめさせたければ、たとえば、マンションのポスト入り口などに「チラシ投函のための立入お断り。発見した場合は住居侵入罪及び軽犯罪法違反で刑事告訴します。監視カメラ作動中」などの掲示をし、監視カメラを設置する、という方法があります。

ところで、日本のチラシの歴史を調べてみると、1683(天和3)年、三井越後屋(今の三越)が呉服の宣伝で、「現金安売り掛け値なし」というキャッチコピーで出した「引き札」というチラシが最初のものだとされているそうです。

引き札は、独特な色合いと大胆な図柄が特徴で、今では収集家がいて展覧会も開かれる美術品だということです。

昔も今も、必要なチラシもあるので、すべてのポスティングが不用なものとはいえません。

そうなると、先ほどの禁止措置を講じた上で、マンションの管理組合が認めたチラシのみ、ラックなどを設置してチラシを入れておく、などの方法が考えられると思います(管理組合に広告収入も入ります)。

広告主よし、住人よし、管理組合よし、の三方よしですね。

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