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弁護士法律解説 リーガルアイ

 

駐車違反をすると、クルマが消えます。


2014年2月27日

今回は、法律がいかにわかりにくいかの一例をご紹介したいと思います。

条文を読まないといけないので、少し大変ですが、「法律って大変だな~(>_<)」ということがわかると思います。


道路交通法では、駐車違反をしたら車両の使用者(所有者)に「放置違反金」が科せられます。

多くの人は、「なんで自分なんだ」とぶつぶつ言いながら、支払を済ませることでしょう。

しかし、督促状を無視して違反金を払わず滞納していると、銀行口座などを差し押さえられてしまいます。

もし、その銀行口座に預金残高がなかったら?

先日、こんな記事がありました。

「車両差し押さえ、ネット競売も 千葉県警、違反金滞納撲滅へ」(2014年1月27日 産経新聞)

先月、千葉県警は駐車違反をした車両の使用者(所有者)に課せられる「放置違反金」の滞納を減らすために、長期間未納を続ける悪質な滞納者に対し、車両を差し押さえてインターネットオークションに出品する取り組みを始めました。

落札金を未納の放置違反金の回収に充てることで、「逃げ得」を許さない狙いのようです。

県警交通指導課によると、県内の放置違反金の滞納件数は2013年末時点で約2万2千件。金額では約3億1千万円に上るとのこと。

納付期限を過ぎても支払われない場合、これまでは金融機関の口座や給与の差し押さえで回収を行ってきたようですが、口座が見つからないといったケースがあることから、車両を差し押さえ、インターネット競売サイト「ヤフー官公庁オークション」へ出品する取り組みを導入したということです。

去る1月15日、放置違反金を約4年間、計8万8千円滞納していた千葉市の40代女性に対し、初めて車両の差し押さえを実施。直後に全額が納付され、オークションへの出品には至らなかったそうですが、早速効果が現れたことで、千葉県警は今後も積極的に実施していきたいとしています。

同様の取り組みは京都府警や愛知、埼玉両県警が先行して実施しており、未納金の回収に一定の効果を上げているようです。

駐車違反をするということは、自動車を持っているということです。

それを差し押さえるのが、放置違反金の回収にはもっとも簡単かもしれません。

しかも、違反者は自動車を使っています。自動車がなくなってしまうと、かなり不便ですね。

任意の支払が期待できるところです。

では、各府警、県警はどのような法的根拠により車をオークションで競売にかけているのでしょうか? 各条文を見ていきましょう。

「道路交通法」第51条の4(放置違反金)

第14項
前項の規定による督促(放置違反金の督促)を受けた者がその指定期限までに放置違反金並びに同項後段の延滞金及び手数料(以下この条及び第51条の7において「放置違反金等」という。)を納付しないときは、公安委員会は、地方税の滞納処分の例により、放置違反金等を徴収することができる。この場合における放置違反金等の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

「地方税の滞納処分の例により」とあるので、次に「地方税法」を見てみましょう。

「地方税法」第331条
1.市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。

6.前各項に定めるものその他市町村民税に係る地方団体の徴収金の滞納処分については、国税徴収法に規定する滞納処分の例による。

今度は、「国税徴収法」が出てきましたね。「国税徴収法」を探します。

「国税徴収法」第94条(公売)
1.税務署長は、差押財産を換価するときは、これを公売に付さなければならない。

2.公売は、入札又はせり売の方法により行わなければならない。

ついに、たどり着きました。まるで、ミステリー小説の謎解きのように感じませんか?

駐車違反金について調べようとして、道路交通法を見ると、「地方税法を見よ」となり、地方税法を見ると、「国税徴収法を見よ」となっているのです。

まるで、誘拐事件で、犯人から、「カネを持って9時に●●公園の電話ボックスに行け」と言われ、指定の時間に行くと、公衆電話が鳴って「15分以内に●●駅の電話ボックスに行け」と言われるような感じです。

法律が難しいといわれるゆえんです。

我われ弁護士も裁判のための資料を作成するときは、条文や判例を読みまくって、根拠となるものを探します。

弁護士は法廷でかっこよく弁論しているイメージがあるかもしれませんが、普段は、カップラーメンをすすりながら六法全書をひっくり返しているネクラな仕事なのです。

それはさておき、放置違反金の滞納者は、これまで見たように、車がネットオークションにかけられても、法的には文句は言えないということです。

自動車のドライバーは、事故に気をつけることはもちろん、愛車を守るためにも、交通規則を守るようにしていただきたいと思います。

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