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アイドルとつきあって800万円の損害賠償請求!?


2014年9月15日

NHKの「朝の連続テレビ小説」(朝ドラ)の影響で、最近、道ならぬ恋が話題になっているようですが、アイドルとファンが、内緒でつきあっていたことが発覚して、アイドルグループの運営会社が損害賠償請求をしているという報道がありました。

一体、何がどうなったのでしょうか?

「アイドルと交際、ファンに損害賠償」(2014年9月12日 日刊スポーツ)

アイドルグループ「青山☆聖ハチャメチャハイスクール」の中心メンバーだった2人が、突然、グループを脱退。
グループの運営会社はメンバー2人とその親権者、さらには交際相手であるファン2人に対して損害賠償請求をしているようです。

先月、都内で開催されたファンイベントで運営会社のプロデューサーは、「重大な契約違反があった。2人はファンと交際していた」などと理由を説明し、相手の実名まで暴露。
会社は、823万2400円の損害賠償を求める内容証明書を交際相手であるファン2人に送付したということです。

プロデューサーは、「メンバー2人の親権者は“ファンと恋愛関係にならない”“ 職場放棄をしない” などの項目が書かれた契約書にサインしていた。他のメンバーやファン全員を裏切り、許されることではない」と発言。

また、請求額については、「2人は契約が1年残っていた。稼ぐはずだったであろう収益と、処分することになったグッズ、慰謝料などを含めた金額」と説明。
提訴も含めた今後の対応は検討中、としているようです。

一方、ファン側も弁護士を雇う意思を見せている、ということです。

今回は、アイドルとファンに請求は別に考えなければなりません。

まず、契約であと1年間の活動期間があるにもかかわらず、正当な理由なくアイドルが脱退した、ということであれば、アイドルには損害賠償責任が発生する可能性があります。

運営会社は、活動計画をたて、プロモーション活動に投資をし、アイドルがその後活動することによって投資を回収するものですから、正当な理由のない脱退は許されるものではありません。

しかし、交際を理由として、運営会社側から契約解除したのであれば、法的に見ると、無理がある請求だと思います。

まず、アイドルと運営会社の契約で交際禁止規定があるそうですが、交際は、本人の「精神的自由」と「行動の自由」、そして「婚姻の自由」に関わるものであり、「基本的人権にかかわる自由」です。

よって、この契約は本人の自由意思が最大限尊重されるべき事項に制限を加えるものであって、当然に有効、というわけではなく、その有効性は限定的に解釈されることになります。(クラブ従業員とコンサルタントの関係につき、東京地裁平成22年10月15日判決)

確かに、アイドルがファンと交際することで、人気が落ちることはあり得ることなので、ただちに禁止規定が無効とは言えないでしょう。

しかし、人気が落ちるのは、ファンであっても、ファンでなくても同じですね。

ファンと交際しても広く知られることとならなければ人気に影響することはなく、アイドルと運営会社との関係を破壊するほどの事由にはならず、契約解除までは認められないものと考えます。

したがって、運営会社側が交際を理由に一方的に契約解除をしたのであれば、その契約解除は無効であり、損害賠償も認められないでしょう。

次に、今回、ファンの2人にも損害賠償を求めていますが、ファンは運営会社と契約関係になく、「交際しない義務」を負っていませんから、アイドルを無理矢理脱退させた、などの悪質な事情がない限り、損害賠償は認められないと思われます。

ファンの側としては、びっくりですね。

また、交際相手であるファン2人も弁護士をつける意思があるようなので、実名を暴露したことが、交際相手の「プライバシーの侵害」として、逆に運営会社が損害賠償請求を受ける結果となる可能性もあります。

アイドルやタレントは、私生活を切り売りすることがあるといっても、私人のプライバシーを暴くことに関しては、慎重な対応が求められるところです。

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