東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
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わいせつと卑わいな言動の罪と罰


2017年11月13日

今回は、「わいせつな行為」と「卑わいな言動」の境界線について解説したいと思います。

「“俺の全裸見たら2000円” 卑わいな言動容疑の男逮捕」(2017年11月10日 岐阜新聞)

テレビ番組の企画を誘い文句に女子高校生に卑わいな言動をしたとして、岐阜県警生活安全総務課と岐阜中署は岐阜市の会社員の男(36)を県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕しました。

事件が起きたのは、2017(平成29)年10月24日午後4時20分頃。
男は帰宅途中の県内の高校2年の女子生徒2人に、「バラエティー番組の企画をしている」と声を掛け、近くの駐車場に誘い出し、「アンケートに答えたら謝礼を払う」と話して安心させると、「俺の全裸を見てくれたら2000円あげる」などと言いながら自身の下半身を露出しようとしたようです。

今年に入り、同市と各務原市で同様の手口による被害が数件発生しており、同署は関連がないか調べるということです。

 

まずは条文を見てみましょう。

「岐阜県迷惑防止条例」
第3条 (卑わいな行為の禁止)
1.何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しくしゆう恥させ、 又は人に不安を覚えさせるような方法で、次の各号のいずれかに掲げる行為を してはならない。
(1) 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直 接人の身体に触れること。
(2)衣服等で覆われている人の下着又は身体(以下「下着等」という。)を見 ること。
(3)衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は記録する目的で、写真 機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。) を設置し、又は衣服等で覆われている人の下着等に向けること。
(4)前3号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。

 

これに違反した場合は、6ヵ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。(第13条1項1号)

迷惑防止条例は47都道府県すべてで定められている法律で、それぞれが各都道府県民に対する迷惑行為や暴力行為などを防止し、生活の安全と秩序を維持することを目的としています。

迷惑行為の中に「卑わいな言動」が含まれており、条文からもわかるように盗撮なども該当します。

詳し解説はこちら⇒
盗撮は犯罪で、かつ、損害賠償の対象にも。
http://taniharamakoto.com/archives/2362/

ところで、今回は身体を露出するという犯罪ですが、では何を、どこまで露出すると卑わいな言動になるのか? また、わいせつな行為との違いは何なのか? という疑問がわいてきます。

ポイントは、「自身の下半身を露出しようとした」という部分です。

今回の事件では、容疑者は下半身を露出していないので迷惑防止条例違反での逮捕になっていますが、仮に局部を露出したならば、「公然わいせつ罪」となり、尻や太ももなどを露出すれば「軽犯罪法違反」に問われる可能性があります。

詳し解説はこちら⇒
「公然わいせつ罪」と「身体露出の罪」の違いとは?
http://taniharamakoto.com/archives/2492/

なお、今年の10月末には、大阪府枚方市の路上で男性器を模した玩具を使い下半身を露出したように装った男が書類送検されていますが、この場合も実際に局部を露出したわけではなかったので大阪府迷惑防止条例が適用されています。

詳し解説はこちら⇒
卑わいな言動(迷惑防止条例)は、危ない
http://taniharamakoto.com/archives/2672/

局部を露出してもしなくても、いずれにしても、不特定多数の人に性的羞恥心や嫌悪感を抱かせる行為をすると、逮捕もしくは書類送検される可能性があるということは覚えておいてほしいと思います。

局部露出⇒公然わいせつ罪
尻、太もも露出⇒軽犯罪法違反
局部を露出したように装う⇒迷惑防止条例
局部を露出すると言う⇒迷惑防止条例

皆さん、やらないとは思いますが、一応、気をつけましょう。

自殺に関与すると犯罪!?


2017年11月10日

2017(平成29)年10月末、神奈川県座間市のアパートの一室から9人の遺体が見つかった事件。
みなさんご存知のように、その後の続報で自殺サイトの関係が指摘されています。

自殺サイトとは、インターネット上で一緒に自殺する者を募ったり、自殺の手段を教えたりするサイトで、過去にはサイトを通じて知り合った人が集団自殺するケースが社会問題化したり、複数人が殺害されるという事件も起きています。

そこで今回は、自殺に関連する法律について解説します。

「ネットで知り合った男性と自殺図り死なす 自殺幇助容疑で33歳男を逮捕」(2017年11月10日 産経新聞)

車の中で練炭を使い、同乗の男性と心中しようとしたとして、山梨県警南アルプス署は自殺幇助(ほうじょ)の疑いで、自称住所不定、無職の容疑者の男(33)を逮捕しました。

報道によりますと、事件が起きたのは、2017年11月4~5日。
男は、南アルプス市芦安芦倉の河川敷に駐車中の軽ワゴン車の中で練炭を燃焼させ、当時38歳の都内在住の男性と一緒に自殺を図り、男性を一酸化中毒で死亡させたとしています。

5日午後3時25分頃、通りがかりの男性が河川敷に不審な車を発見。
これを聞いた別の男性が車内を確認後、「人が倒れている」と警察に通報。
同署員が駆けつけたところ、容疑者の男は意識があったため甲府市内の病院に搬送され、体調の回復を待って8日に逮捕したようです。

容疑者はインターネットを通じて男性と知り合ったと供述し、容疑を認めているということです。

 

まずは関係する条文を見てみましょう。

「刑法」
第202条(自殺関与及び同意殺人)
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

 

自殺関与については、「自殺教唆罪」と「自殺幇助罪」があります。

人を教唆(きょうさ)するとは、そそのかすことです。
そそのかして決意させて、自殺させた場合は自殺教唆罪です。

人を幇助(ほうじょ)するとは、手助けをすることです。
すでに自殺の決意をしている人を幇助して自殺させた場合は自殺幇助罪になります。

同意殺人については、人の嘱託(頼んで任せること)、依頼を受けてその人を殺害した場合は「嘱託殺人罪」、人の承諾、同意を得てその人を殺害した場合は「承諾殺人罪」となります。

自殺関与と同意殺人の違いとは、行為者が直接手を下したかどうかで区別されます。
たとえば服毒自殺の場合、自殺を決意している人に毒薬を提供すれば自殺関与となり、自殺を決意している人から依頼を受けて毒薬を飲ませれば同意殺人となります。

座間の事件では、被害者が自殺を決意していない場合や自殺を決意していても、同意や頼まれもしないのに殺してしまった場合などは殺人罪になりますが、仮に被害者が自殺を決意していれば、容疑者の行為、被害者が死亡に至った経緯や原因によって、上記の4つのいずれかが適用されることになるでしょう。

冒頭に紹介したニュースの事件では、同意に基づいて心中を試みたが一方が生き残ったため、死亡した男性の自殺を幇助したとして、容疑者が自殺幇助の疑いで逮捕されたということです。

入水や首吊り、服毒、焼身、飛び降りなど、古今東西さまざまな心中事件が起きていますが、一方が生き残ったケースでは、たとえ自身が手を下して相手を殺害したのではなく、自らも自殺を試みたのだとしても、法律的には犯罪性が消滅する理由にはならないということは覚えておいてください。

わら人形で脅迫罪に


2017年10月2日

古今東西、「呪い」の道具にはさまざまなものがあるようですが、日本人にとってなじみの深いアイテムといえば、「わら人形」でしょう。

「丑の刻参り」は、呪いたい人間の髪の毛などを入れ込んだわら人形を作り、丑三つ時の深夜の2~3時頃に白い装束を着て、念を込めながら樹木に五寸釘でわら人形を打ちつけます。

日本人なら誰もが一度は目にしたことのある夏の風物詩……ではありませんね。

じつは、わら人形を作ると逮捕される可能性がある、ということを今回は解説します。

「脅迫容疑  41歳男逮捕 通学路に“わら人形”つるす」(2017年9月28日 毎日新聞)

警視庁小松川署は、小学校の通学路に「死ね」などと書いた紙をつけた「わら人形」をつるしたとして、東京都江戸川区の無職の男(41)を脅迫容疑で逮捕しました。

事件があったのは、9月26日午前5時頃。

容疑者の男は、自宅近くの歩道橋に「クソがきどもここからとびおりてみんな死ね」と書いた紙を付けた人形1体をつるし、通学路にしている区立小学校の児童を脅したということです。

わら人形は高さ約12センチで、枯れたマツの葉を束ねて自作したもの。近くの防犯カメラに人形を取り付ける様子が映っていたようで、男は「子供の声がうるさくて頭にきてやった」と容疑を認めているということです。

では、条文を見てみましょう。

「刑法」
第222条(脅迫)
1.生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2.親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

 

脅迫罪は、相手に危害を加えることを告げるだけで成立します。
その方法は口頭や書面のほか態度などでもよく、また直接ではなく間接的な手段でも相手が知ることができれば成立するとされています。

脅迫罪について、過去には次のような判例があります。

・対立する派閥の中心人物宅に宛てて、現実に出火もないのに「出火御見舞申し上げます。火の元に御用心」等と書いたハガキを送った。
(最判昭35・3・18集14-4-416)

現在、選挙に向けて、政党間で火花が散っておりますが、くれぐれも出火見舞いのハガキを出さないよう気をつけていただきたいと思います。

・相手の住宅付近にある物に火をつけて燃焼させた。
(仙台高秋田支判昭27・7・1判時22-237)

・相手の自宅付近の人目につく場所に加害内容を記載したビラを貼って、その内容を認識させた
(大判大8・5・26録25-694)

・刃物を着衣の下に隠し持って相手に危害を加えるような態度を示して脅迫した。
(大判昭6・12・14集10-763)

・村八分の通告は相手の名誉に対する加害の告知であると認められた。
(大判昭9・3・5集13-213)

・相手方一族の社会的罪悪を攻撃する旨の記事を掲載した雑誌を送付することは加害内容として十分具体的であると認められた。
(大判大1・11・28録18-1445)

・祈祷師が祈祷を信仰している者に対して、神の力で加害する旨の告知をするのは畏怖させるに足りる程度の害悪の告知だと認められた。
(最決昭31・11・20集10-11-1542)

色々な脅迫の形がありますね。

ついカッとなって、「殺してやる」とか、相手に危害を加えるようなことを言ってしまう人がいますが、場合によって、脅迫罪が成立するかもしれません。

日頃より、感情のコントロールに心を砕いて生活することが大切ですね。

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