交通事故の慰謝料の完全解説 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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交通事故の慰謝料の完全解説

2018年02月01日

交通事故の被害者弁護に携わっていると、さまざまな相談を受けます。

その中でも大きな問題のひとつに慰謝料があります。

交通事故の被害にあってケガをした場合、被害者は通院や入院をしてケガの治療をしますが、治療のかいなく後遺症が残ってしまうことがあります。

後遺症を抱えた被害者は、精神的な苦痛に加え、肉体的な苦痛も強いられます。
また、事故前のように働くことができなくなれば収入は減り、最悪の場合は仕事も失ってしまいます。
さらには、今後の生活では介護費用などの出費が増えていく可能性もあります。

怒りと憤り、そして不安と心配。

交通事故の被害者は、さまざまな苦しみを背負わなければいけなくなってしまいます。

しかし、そうした状況にあっても、被害者には現実的にやるべき大切なことがあります。

それは、できるだけ高額の慰謝料を獲得することです。

(動画解説)
交通事故慰謝料は弁護士に依頼するとなぜ増額するのか

「お金の問題で争いをしたくない」と考える必要はありません。
加害者からは誠意をもって、しっかり償ってもらわなければいけません。

今回は、高額慰謝料を獲得するために必要なことについて、①ご自身の後遺障害等級の認定手続き、②保険会社(加害者側)との損害賠償金の示談交渉、という2つの段階に分けて、注意ポイントなどを解説したいと思います。

1.自分の後遺障害等級を知る

(1)後遺障害等級は1級から14級までが定められている
交通事故で負ったケガのために後遺症が残ってしまった場合、まずはご自身の後遺障害等級を知る必要があります。

なぜなら、今後この後遺障害等級が慰謝料の金額の決定などにおいて、とても重要になってくるからです。

後遺障害等級は、自動車損害賠償保障法(自賠法)によって1級から14級までが定められています。

症状が重いほうが1級です。
また、それぞれの等級は後遺障害を負った部位によって号数で分かれています。
たとえば、両手の指をすべて失った場合は3級5号、脳にダメージを負い高次脳機能障害により軽易な労務しかできなくなった場合は7級4号、ということになります。

等級が上がったほうが慰謝料の金額は高くなります。

(2)後遺障害等級認定の申請には2つの方法がある
後遺障害等級認定を申請するには、「被害者請求」と「事前認定」という2つの方法があります。

被害者請求とは、直接被害者が加害者の加入している自賠責保険会社に申請する方法です。

被害者請求で等級が認定されると、それに応じた自賠責保険金がまとまった金額で支払われるので、その後に行なう加害者側の保険会社との示談交渉で余裕を持って交渉していくことができます。

一方で、申請のための資料や書類は被害者が自分で集めなければいけないため、手間がかかってしまうというデメリットがあります。

事前認定とは、加害者の任意保険会社を通して自賠責保険に申請する方法です。

加害者側の任意保険会社が手続をやってくれるので、被害者としては資料や書類を集めて申請する手間が省けます。
また、示談交渉が成立せず最終的に裁判の判決までいった場合、事前認定のほうが慰謝料などの損害賠償金に事故時から判決までの間の遅延損害金がつくので受け取る金額が増えます。

しかし、申請でどのような書類が提出されているのかわからないため、被害者にとっては書類に不足がないかどうか確認することができません。
そのために、後遺障害等級が間違って低く認定されるリスクもあります。

どちらがいいのかは、交通事故被害者の状況を見ながら判断することになります。

2.保険会社(加害者側)と示談交渉を進めていく
ご自身の後遺障害等級が認定されたら、次は慰謝料などの示談交渉に進みます。

示談交渉は、その進め方によって被害者が受け取ることができる慰謝料などの損害賠償金の金額が大きく変わってくるので、とても大切なものです。

(1)交渉相手は加害者側の保険会社
被害者にとって、示談交渉の相手は誰かというと、被害者側の保険会社の担当者ということになります。

ここで注意しなければいけないのは、加害者側の保険会社は、被害者にとって味方ではないということです。

担当者は、やわらかい物腰で、「慰謝料など、精一杯努力して金額を出しました」とか、「これ以上は出せない当社の限度いっぱいの金額です」などと言ってくるかもしれません。
しかし、保険会社担当者の人間性と、示談金額の妥当性は、分けて考えなければなりません。

なぜなら、保険会社が利益をなるべく多くするには、被害者に支払う損害賠償金をできるだけを低く抑えることが重要になってくるからです。

したがって、加害者側の保険会社を敵とは思わないまでも、味方と思ってはいけないのには、こうした理由があるからです。

(参考記事)
示談交渉で知らないと存する知識

(2)慰謝料とは何かを知っておく
多くの人が「慰謝料」という言葉を使っているのですが、では慰謝料とは何なのか、じつはきちんと理解していない人が多いのではないでしょうか。

ここでは、慰謝料の大切なポイントについて解説していきます。

①そもそも慰謝料とは、交通事故の被害により精神的な苦痛を被ったことに対して支払われる損害賠償金のことです。

②慰謝料と損害賠償金は同じものではありません。
治療費や入院費、将来介護費などたくさんある損害賠償金の中のひとつが慰謝料となります。
逆にいうと、たくさんある項目の中からご自身が申請できるものを合わせた全体が損害賠償金ということになります。

「損害賠償金の項目の例」
治療費、付添費、将来介護費、入院雑費、通院交通費、装具・器具等購入費、家屋・自動車等改造費、葬儀関係費、休業損害、傷害慰謝料、後遺症慰謝料、逸失利益、修理費、買替差額、代車使用料 など。
③交通事故に関する慰謝料は、ひとつではありません。
「死亡慰謝料」、「後遺症慰謝料」、「傷害慰謝料」の3つがあります。

④損害賠償金については、「自賠責保険基準」、「任意保険基準」、「裁判基準」という3つの基準があります。

自賠責保険基準がもっとも金額が低く、裁判基準がもっとも慰謝料が高くなります。

では、慰謝料を含めた損害賠償金の金額はどのように決められるのでしょうか?
この3つの基準には、どのような違いがあるのでしょうか?

被害者にとっては、裁判基準に近い金額で示談をすることがもっとも望ましいことです。

しかし、法律や保険の素人である被害者が単独で裁判基準での損害賠償金を勝ち取るのは至難の業だと言わざるを得ません。

では、どうすれば交通事故被害者は高額な慰謝料を獲得することができるのでしょうか?

さらに詳しく知りたい方は、下のページを参照してください。

交通事故の慰謝料の相場と慰謝料を増額させる秘訣