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税理士が作成保存する会計データの所有権

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2017年10月9日

税理士と顧問先との間で、税理士が作成した顧問先の会計データの所有権の帰属が争われた裁判例がありますので、紹介します。

東京地裁平成25年9月6日判決です。

事案としては、税理士が、元顧問先に対し、税理士顧問契約に基づく報酬請求として、43万7940円を請求し、顧問先が反訴として、税理士が保有する会計データ(電子データ)を引き渡さなかったことが債務不履行だと主張し、143万4416円の損害賠償その他の請求をした、というものです。

顧問契約書が締結されており、業務内容としては、以下のとおりでした。

・法人税、事業税、住民税及び消費税の税務代理及び税務書類の作成業務

・税務相談

・総勘定元帳(調査時の出力)並びに決算
会計処理に関する指導及び相談

・上記項目以外の業務については別途協議する。

入力された会計データを出力した総勘定元帳は、依頼者に送付されていましたが、本件は、弥生会計に入力された会計データそのものを依頼者に引き渡す義務があるのかどうかが争われた事案です。

つまり、「会計データ」自体の所有権が、税理士に帰属するのか、顧問先に帰属するのか、が争われたものです。

この点について、裁判所は、税理士が保存していた会計データの所有権は税理士に帰属しており、会計データの引き渡し義務はないと判断しました。

ただし、この判決は、税理士が、入力結果を渡す義務がない、と判断したものではありません。

会計データの所有権のみを判断したものです。

税理士と顧問先との契約関係は、委任契約とされています(最高裁昭和58年9月20日判決)。

そして、民法645条は、「受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。」と規定しています。

したがって、税理士は、受任事務を処理した時は、その結果について報告すべき義務があることは忘れてはいけません。

 

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