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税理士が資本金額の助言を怠り損害賠償が認められた裁判例

 >税理士が資本金額の助言を怠り損害賠償が認められた裁判例

2016年9月19日

【東京地裁平成27年5月28日判決】

●税理士敗訴
損害賠償額 1257万2890円

(事案の概要)
医師が個人で運営していた医院を医療法人として設立して自分が代表者として就任する際に,医師の顧問税理士であった税理士ととの間で契約を締結しました。

その契約の内容は、医療法人の設立手続の一部を税理士が行う、というものです。

そして、医療法人設立後は、税務顧問契約を締結しました。

ところが、医療法人は、税理士を訴えた、という事案です。

理由としては、

①税理士は,本件契約上,医療法人設立時に資本金を,設立後2期分の消費税の免除を受けられるなど税務上有利とするために1000万円未満とするように指導すべき義務があったにもかかわらず,これを怠り,医療法人に設立後2期分の消費税を支払わせるなどの税務上の損害を与えた

②税理士は,事務用品購入費について経費算入を怠り,これにより税務上の損害を与えた

というものです。

主な争点は、①の方です。

医療法人側は、法人設立の目的は「節税目的」なのだから、税理士は当然資本金を1000万円未満にするよう指導する義務がある、と主張しました。

税理士は、

①資産総額について,1000万円未満とした場合には設立後2期分の消費税が免税となる旨説明した

②しかし、医療法人代表者が「資産総額だけでも他のクリニックに勝ってブランド化したい。」「設立から2期分の消費税の免税が受けられなくとも,課税される消費税が経費となるならそれでかまわない。」「運転資金が潤沢にあった方が運営しやすい。」などと述べて,資産総額を1億円超とした、とのことです。

しかし、その後、2回にわたり、医療法人から税理士に対して「なぜ1000万円未満にしなかったのか」という問い合わせに対し、消費税については,医師は個人経営から法人成りした経緯から,2期分の免除の適用はない旨,誤った認識に基づく回答をし,設立の際に正しい説明をしたことや,医師の強い希望で資本金額を1億円以上としたとについては全く触れなかった、という事情があります。

つまり、争点は、

設立の際に、税理士は、資本金1000万円未満にすれば、設立後2期分の消費税が免税となることを説明したか?

という点です。

(判決)

この点、裁判所は、設立の際に説明した証拠がないこと、その後の問い合わせ時にも、説明した旨回答していないこと、などから、税理士の主張は信用できない、として、税理士は敗訴しました。

税理士は、税務に関する専門家として、依頼者のために税務に関する有効な説明・助言をする義務があります。

これを税理士の説明助言義務と言います。

裁判所は、この説明助言義務を前提として、この義務違反を認めた、ということになります。

(対策)

この裁判例から学べること。

知識がないことは論外です。しかし、実際説明したとしても、「説明したこと」を立証できないと税理士は損害賠償義務を負担します。

そこで、通常と異なる処理をする場合には、説明時に書面化しておくことが必要です。

今回でいえば、もともと節税目的の法人設立ですから、資本金1000万円未満にすれば設立後2期分の免税になるのですから、そちらを選択する方が通常であるのに、異なる処理をしました。

そこで、その旨書面化し、代表者がアドバイスと異なる処理を選択した旨署名捺印を得ておく、という方法です。

そのような書面をもらっておけば、裁判になっても、その書面を提出するだけで、勝負は決することになりますし、そもそも裁判にもならないと思います。

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