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憤慨!糞害!ハトをめぐる隣人トラブルの対処法とは?

 >憤慨!糞害!ハトをめぐる隣人トラブルの対処法とは?

2016年3月1日

近隣住民が、糞害で憤慨!

しているにも関わらず、迷惑行為を止めない隣人が問題になっているようです。

今回は、動物の糞(フン)による隣人トラブルと法律について解説します。

「ハトに餌、近隣フン害 名古屋の男性、行政指導応じず」(2016年2月26日 中日新聞)

自宅アパート前や公園で男性がハトに餌をやり続けているために、集まってくる大量のハトがする糞で洗濯物が汚れるなど近隣住民とトラブルになっているようです。

名古屋市南区で、2011年の夏頃から2階建てアパートの1階に1人暮らしをしている50代の男性が、毎日朝と夕方に自宅前でパンなどの餌をまくようになり、ハトが道路に50羽以上も集合するように。

アパートの屋根や周囲の道路が糞で汚れるため、近隣住民から苦情が出るようになり、餌やりを止めるように何度も求めたにも関わらず男性は止めなかったようです。

また、近くの公園でも餌やりが確認されたため、名古屋市の南土木事務所は市都市公園条例が禁止する「他人に迷惑となる行為」に当たるとして2014年1月に2回、今年1月に1回、公園で行政指導したようですが改善はみられなかったということです。

そこで2月26日、市南土木事務所の職員が男性宅を訪れ、餌やりをやめるよう行政指導する予定でしたが荷物などで囲まれた玄関ドアに近づけず、職員は外から約30分にわたって出てくるよう呼び掛けたところ、応答がなかったため、あらためて訪問することになったということです。
これまで本ブログでは、さまざまな隣人トラブルについて法律解説してきました。

たとえば、京都市のごみ屋敷問題では、市の「ごみ屋敷対策条例」が施行されたことで、2015年に自宅前などに古新聞や雑誌を溜め込んでいた住宅から、“ごみ”が行政代執行で強制撤去されました。

詳しい解説はこちら⇒
「全国で初めて“ごみ屋敷”を強制撤去の行政代執行!」
http://taniharamakoto.com/archives/2120

大阪府堺市では2015年、家の前の道路を植木鉢などでふさいだ夫婦が「往来妨害罪」で逮捕されています。

詳しい解説はこちら⇒
「ご近所トラブルで往来妨害罪適用!?
http://taniharamakoto.com/archives/2132

また、最悪のケースでは殺人事件にまで発展することもある「騒音トラブル」についても解説しています。

「隣人トラブルから人間性が見える」
http://taniharamakoto.com/archives/1340

今回のケースでは、ハトの糞害が問題となっていますが、報道にあるように場所によって法的措置が変わってきます。

まず、公園での餌やりについては「名古屋市都市公園条例」が適用される可能性があります。

「名古屋市都市公園条例」
第4条(行為の制限及び禁止)
1.都市公園において、次の各号に掲げる行為をしてはならない。(後略)
(12)他人の遊戯を妨げるなど他人に迷惑となる行為をすること。

これに違反した場合は1万円以下の過料となります。

次に、アパートでの餌やりについてですが、残念ながら現状では適用できる法律や条例はないようです。

たとえば、愛知県の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(通称、迷惑防止条例)には、暴力行為や卑猥な言動、押売り行為、不当な客引き行為などについての規定はありますが、「ハトに餌をあげてはいけない」、「糞をさせてはいけない」という条項はありません。

やはり、まずは市の職員が説得して男性に餌やりを止めさせる働きかけを粘り強くしていくことが必要となってくるでしょう。

しかし、そうした努力もむなしく、男性の迷惑行為が改善されない場合、近隣住民としてはどうすればいいのでしょうか。

まずは、アパートの管理規約に「騒音など迷惑行為の禁止」を義務付けているかどうかを確認します。
規定があれば、管理者や管理組合に相談して迷惑行為を止めるように第三者から伝えてもらいます。

それでも迷惑行為が収まらないようであれば、弁護士などの専門家に相談して「内容証明郵便」を送ります。

それでも改善されないならば、民事訴訟を起こして法的措置に訴えることになります。

「民法」
第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
損害賠償請求のほか、餌やりの禁止の請求をすることもできます。

過去、猫の餌やりを禁止する判決が出された事例もあります。(東京地裁立川支部平成22年5月13日判決)

損害賠償も餌やり禁止も、「受忍限度」を超えていることが必要です。

受忍限度とは、騒音や振動などの環境権や、人格権の侵害などで問題になるもので、一般人が社会通念上、我慢(受任)できる、すべき限度のことです。

つまり、ハトの糞害における被害が受忍限度を超えると認められれば、不法行為が成立し、損害賠償や差し止め請求が認められることになります。

近隣住民にとっては迷惑な隣人トラブル。
できるだけ穏便に解決したいところですが、行政担当者とも連携しながら、場合によっては法的措置を考えることもおすすめします。

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