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ご近所トラブルで往来妨害罪適用!?

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2015年11月25日

大きなお金をかけて購入したマイホーム。
ところが、迷惑な隣人がいてトラブルに巻き込まれでもしたら…安心して暮らせませんね。

しかし、どこに、どんな問題隣人が住んでいるかわかりません。

近年、急増する隣人トラブルについて、今回は家の前の道路を塞いだ大迷惑な隣人の罪について解説します。

「自宅前に大量“植木鉢バリケード”私道を封鎖 77歳夫婦、通行妨害容疑で逮捕」(2015年11月24日 産経新聞)

大阪府警西堺署は、近隣住民ら9人と共同所有する自宅前の私道に大量の植木鉢などを置いて近隣住民の通行を妨害したとして、堺市西区の夫婦(ともに77歳)を逮捕しました。
容疑は、往来妨害罪です。

2人は、2014年9月~11月、自宅前の幅2.4メートルの路地に多数の植木鉢やコンクリートブロックなどを並べて置き、20センチほどしか空スペースを作らず通行を妨害。

現在も近隣住民が通行するのも困難な状況でありながら、私道であるために市などの行政が介入できないことから住民が同署に相談、嘆願書の提出をしていたようです。

じつは、容疑者夫婦は自宅前に犬の糞が放置されていたことに激怒し、2005年にも同じ場所を金網フェンスで囲ったとして近隣住民とトラブルになっており、その際も往来妨害容疑で逮捕され有罪が確定したという過去があるとのこと。

容疑者夫婦は、「自分の土地だ」、「所有権は自分たちにあり、封鎖は何の問題もない」などと主張しているということです。
では早速、道路に関する法律を見ていきましょう。

まず、公道についてですが、今回の事件では「道路法」と「道路交通法」が関係します。

道路法は、道路の定義や整備手続き、管理、保全、費用、罰則など道路に関する事項について定めた法律です。

「道路法」
第43条(道路に関する禁止行為)
何人も道路に関し、左に掲げる行為をしてはならない。
1.みだりに道路を損傷し、又は汚損すること。
2.みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること。
これに違反した場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。(第102条)

道路交通法とは、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的としています。(第1条)

「道路交通法」
第76条(禁止行為)
3.何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
これに違反した場合、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処されます。(第119条の12の4)

しかし、今回は「私道」です。

私道の場合を見てみましょう。

以前、ごみ屋敷の撤去に関する記事でも解説しましたが、個人の財産権は憲法に規定され、保障されています。

「日本国憲法」
第29条
1.財産権は、これを侵してはならない。
詳しい解説はこちら⇒
「全国で初めて“ごみ屋敷”を強制撤去の行政代執行!」
http://taniharamakoto.com/archives/2120

つまり、第三者にとっては明らかにゴミで迷惑なものでも、本人が「財産」と主張すれば、私有地である個人宅や敷地、私道から第三者が持ち出すと、「私有財産権の侵害」につながるおそれがあるわけです。

今回の私道に置かれた植木鉢も同じですね。

ただし、公衆の通行の用に供されている私道の場合、障害物を置いて道路を遮断したりすれば「刑法」の「往来を妨害する罪」が成立します。

「刑法」
第124条(往来妨害及び同致死傷)
1.陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉塞して往来の妨害を生じさせた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
2.前項の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
つまり、他の人が通行のために利用する道路の場合は、公道であっても私道であっても、その通行を妨害するような、公衆の交通の安全を侵害する行為は犯罪になる可能性があるということです。

さらに、今回の私道は、9人の共有だと言います。

共有物の管理は、共有持分の過半数を持って決定しますので、いずれにしても1共有者が勝手に植木鉢を置いたりして使っていいわけではありません。

さて今回の事件、別の報道によると、容疑者は包丁を持って通行人を追いかけたり、石を投げる、汚い罵声を浴びせるなどもしていたようです。

まさに、「開いた口がふさがらない」ような非常識な行為のオンパレードですが、近隣住人にとっては口を開けさせずに、道を開けてほしいところでしょう。

行政も、「私道」だからといって放置せずに、きちんと「指導」して欲しいものです。

おあとがよろしいようで。

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