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所有する空き家の倒木で隣家が破損!損害賠償?

 >所有する空き家の倒木で隣家が破損!損害賠償?

2015年7月11日

v今回は、空き家にまつわる隣人トラブルについてのご相談です。

はたして、法律はどちらに微笑むのでしょうか?
それとも、円満な解決策はあるのでしょうか?

Q)父から相続した家と土地があるのですが、私も弟も実家を出て独立しており、現状は使う予定がありません。ところが先日、突風が吹いた日に敷地の老木が倒れたらしく、隣家の屋根を直撃。連絡があり、修理代を出してくれと言われました。損害賠償しなければいけないのでしょうか?

A)一般的に、たとえば台風や地震などの自然災害による被害で、所有者として防ぎようのない状況であれば、個々の責任は問われません。
しかし、自分が所有する家の屋根の瓦や、店の看板が飛んで隣家の建物を傷つけてしまったというようにメンテナンスや設置に問題のある場合や、竹木の支持に瑕疵があり、隣家の屋根に倒れて破損させてしまったような場合は、「民法」第717条により所有者の責任となりますので修理代などの損害賠償をしなければいけない可能性が高いでしょう。
【建物の隣人トラブルでは所有者の責任は免れない!?】
では早速、条文を見てみましょう。

「民法」
第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
1.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2.前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3.前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者が
あるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
1項にある「工作物」とは、土地の上に人工的に設置された物のことで、建物や道路のほか、電柱、塀なども含まれます。
「瑕疵(かし)」とは、キズや欠点、欠陥のことですが、この法律では瑕疵が生じるのには故意も過失も必要としません。
また、「占有者」とは使用している人のことで、「所有者」は持ち主ということになります。

たとえば、あなたが所有する建物の瓦が飛んだり、塀が倒れたなどして隣家の一部が破損した場合、瓦が古くなってはがれやすくなっていたり、塀にひびが入っていたなど、そもそも設置や保存に欠陥などの問題があった場合、それは所有者であるあなたの不法行為責任だから、隣家の家主はあなたに損害賠償請求することができる、ということです。

一方、最近メンテナンスをしたばかりであなたには落ち度はなく、修理業者の手抜き工事が原因だった場合はどうでしょうか?

じつは、その場合でも所有者であるあなたが責任を負わなければいけません。
納得いかないかもしれませんが、法律ではそうなってしまいます。

しかし、原因は業者の手抜き工事ですから、3項にあるように今度はあなたが業者を訴える(求償する)ことができます。
【庭木などが原因の隣人トラブルも所有者の責任!?】
では、今回の相談のケースはどうかというと、2項が適用されます。

老木が倒れないような処置をしたり、万が一のときのために切っておくなどの対策をしなかったのは所有者の責任である、ということですね。

また、たとえば、落ち葉が排水溝をふさいでしまったとか、側溝が詰まったというような場合でも、あなたは掃除をするなり業者に頼むなりの対応をしなければいけません。
仮に、あなたがそれを放置していて、隣人が業者を頼んで掃除した場合には、あなたはその費用を請求される可能性があります。

ところで、庭木に関する隣人トラブルで多いものに、隣家の木の枝が伸びてきて邪魔で迷惑、というものがあります。

邪魔なんだから切っちゃえ! という人もいるかもしれませんが、それは要注意です。

第233条(竹木の枝の切除及び根の切取り)
1.隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2.隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
法律では、隣家の枝は勝手に切ってはいけません。
勝手に切ってしまうと、「器物損壊罪」で訴えられる可能性もあります。
まずは所有者に状況を説明して、枝を切ってもらうという対応が必要なのです。

ただ、どうしても対応してくれない、話し合いにならないというような場合は、条文に「枝を切除させることができる」とあるように、裁判所に請求して相手の費用で職人に依頼して枝を切らせることはできます。

ちなみに、2項にあるように根の場合は自由に切ってもいいことになっていますので、覚えておいてください。
さて近年、相談者のように使わない「空き家」が増加していることで、対策のための法律が施行されたことは以前に解説しました。
詳しい解説はこちら⇒
「特定空き家の基準が決定!空家対策特別措置法が施行」
http://taniharamakoto.com/archives/1952

空き家の場合、普段は目が届かず管理がおろそかになりがちなため、隣人トラブルに発展するケースも増えていますので十分注意してほしいと思います。

いずれにせよ、隣人トラブルの場合は、まずはお互いで話し合って解決することが大切です。

それでも、どうしても解決できないならば弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

ご相談は、こちらから⇒ http://www.bengoshi-sos.com/about/0903/

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