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ウソの注文をすると犯罪になります。

 >ウソの注文をすると犯罪になります。

2015年6月2日

ネットでみかんを注文した男が逮捕されたようです。
どんな罪を犯したというのでしょうか?

「“知人へ嫌がらせのため”ミカン10箱ウソの注文 会社員の男逮捕」(2015年5月27日 産経新聞)

和歌山県警有田署は、知人男性の名前で虚偽の注文をして、みかんを配達させたとして、兵庫県川西市の会社員の男(42)を逮捕。
容疑は偽計業務妨害です。

報道によると、平成26年11月26日、容疑者の男は勤務する会社のインターネットを通じて、知人男性の名前で和歌山県有田市内の会社にみかん10箱(約2万円相当)を虚偽に注文し、同社の業務を妨害したとしています。

男は、「知人への嫌がらせが目的だった」と容疑を認めているということです。
有田市といえば、みかんが有名ですね。
ちなみに、日本の温州みかんの生産地トップ3は、1位和歌山県、2位愛媛県、3位静岡県。
この3県で全国シェアの約50%を占めているそうです。

生産者の人たちが、丹精込めて作った美味しいみかんです。
全国のみかんたちを犯罪に巻き込まないようにしましょう。

今回は以上です。
というわけにはいきませんね、失礼しました。
では、今回の事件を法的に解説していきましょう。

「刑法」
第233条(信用毀損及び業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
「虚偽の風説の流布」とは、ウソなどの真実とは異なった内容の事柄を不特定多数の人に知れ渡るようにすることです。
これには、口伝えで話し、伝えるだけでなく、噂として広める行為も含まれます。
ただし、そのウソが本当だった場合は、この罪は成立しないということになります。

「偽計」とは、人をあざむく計略です。

つまり、今回の事件は、容疑者の男がインターネットでウソの注文という偽計を使って、みかんの通販会社にみかん10箱を配送させたことで、通常の業務を妨害した罪ということになります。

嫌がらせをされた男性は注文していないので、みかんを受取る必要はありませんし、代金を支払う義務もありません。
報道からでは、配送されたみかんがどうなったのかはわかりませんが、騙されて損をしたのは、みかんの通販会社なので警察に被害届を出したということでしょう。

ちなみに、過去の判例ではさまざまな行為が偽計業務妨害と認められています。

・駅弁業者の駅弁が不衛生である旨の内容のハガキを鉄道局事務所の旅客課長宛てに郵送した(大判昭3・7・14集7-490)

・銭湯の入り口付近に「休業」と記載した紙片を掲示した(東京高判昭27・7・3高集5-7-1134)

・電気量計に工作をし、メーターを逆回転させて使用電力量より少ない量を指示させた(福岡地判昭61・3・3判タ595-95)

・中華料理店に3ヵ月足らずの間に約970回にわたって無言電話をかけた(東京高判昭48・8・7高集26-3-322)

・デパートの売り場の布団に合計469本の縫い針を混入した(大阪地判昭63・7・21判時1286-153)
昔から、注文していないのに、すしが30人前出前されたとか、ピザが何十枚も届いたという話がありますが、送り付けられたほうは注文していないのですから、法的には受け取りを拒否することができます。
被害にあってしまったのは、すし屋やピザ屋ということになります。

ところで、最近では「送り付け商法」と呼ばれる詐欺被害も多発しています。
ある日、身に覚えのない商品が送られてきて代金を請求されるというものです。

これは、「売買契約」が成立していないので、法的には認められません。
よって、受け取っただけでは契約は成立しないし、支払い義務もありません。

仮に商品を受取ってしまった場合、「返品は認めない」とか、「返品しない場合は代金をいただきます」というようなことが書いてあっても法的には無効です。
ただし、この時点では商品は自分のものではないので、商品の封を開けて使用したり、必要ないからといって処分してしまうと、購入する意思があったとみなされるおそれがあるので注意が必要です。

「特定商取引法」には、商品の送付があった日から数えて14日間を過ぎれば、送り付けた業者は商品の返還を請求することができなくなると定められています。
よって14日間を過ぎれば、商品は使用しても処分しても自由、ということになるのです。

とにかく、まずは注文した覚えのない商品は受け取らない、代金は支払わないことが大切です。
一度支払ってしまうと、お金を取り返すのは困難です。

また、嫌がらせにしろ、いたずらにしろ、ウソの注文などはしてはいけません。
仮に、ほんの出来心だったとしても、その行為、犯罪になるかもしれませんから、要注意です。

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