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脱税事件で告発されると?

 >脱税事件で告発されると?

2015年2月18日

今回は、企業の脱税について解説します。

「8700万円脱税で有罪 元薬局経営者に横浜地裁」(2015年2月13日 産経新聞)

約8700万円を脱税したとして、法人税法違反罪に問われた横浜市と千葉県市川市の薬局2社の実質的な元経営者だった被告(男性・50歳)に、懲役1年、執行猶予3年の判決が言い渡されました。

また同時に、横浜地裁は、法人としての横浜市の薬局には罰金1200万円、市川市の薬局には罰金1000万円を言い渡した、ということです。

判決によると、被告は、平成21~23年の売り上げなど計約3億円の所得を隠し、法人税を免れたということで、裁判官は「架空経費の計上や広告宣伝費の水増しなどさまざまな手段で所得を隠した態様は悪質」と指摘したようです。

平成26年10月、東京国税局の告発を受け、横浜地検は被告の男性を在宅起訴。
被告の男性は、すでに修正申告し、薬局2社は現在、商号変更しているということです。
【脱税とは?】
脱税とは、納税義務者、または徴収納付義務者が、偽り、その他不正の行為により、所得税ないし法人税をのがれ、またはその還付を受けることです。(所得税法第238条、法人税法第159条)

刑罰は、10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらを併科となります。
ただし、事情によって、罰金の額は、脱税額を限度として増額される場合があります。

今回も、脱税額が高額だったので、1200万円とされたのでしょう。

犯行の手口としては、売上除外、架空経費の計上などが典型的なものです。
【脱税犯の成立に必要な故意とは?】
脱税犯は故意犯なので、犯罪が成立するには故意であることが必要とされます。
具体的には、以下の認識が必要となります。

①納税義務の存在の認識
所得があり、かつ納税する義務があるという事実を認識していること。

②偽り、その他不正の行為の認識
自分の行為が、偽り、その他不正の行為であることを認識していること。

③逋(ほ)脱の結果についての認識
所得が存在するにもかかわらず、これに対する正当な税額の一部、または全部を免れる結果になることを認識していること。

ちなみに、「逋脱」とは裁判実務上の慣用的な用法で、ここでは単純に、税をのがれること=脱税=逋脱、と理解してください。

また、報道などを見ていると「申告漏れ」という言葉を目にすることがあります。

では、「申告漏れ」と「所得隠し」の違いは何かというと、過失か故意かの違いということになります。
たとえば、計算の誤りによって所得が少なくなっていた場合、税法の解釈の誤りによる過少申告、所得を得ていることを知らなかった場合、申告手続きが遅れてしまった場合など意図的ではない場合は、申告漏れとして取り扱われます。

【マルサの調査】

脱税事件は、国税局の査察部(通称「マルサ」)による調査から始まるのが通常です。

マルサは、納税者にバレないように調査を進め、証拠を収集していきます。

そして、脱税の疑いが濃厚になったところで、会社や自宅、関連先に同時にガサ入れに入ります。

そこで、帳簿やパソコンその他関連資料をごっそりと持って行ってしまいます。また、金庫その他に脱税した現金や金、その他の財産が隠されていないかどうか探すことになります。

これを通称「たまり」と言います。

脱税した場合、そのお金を預金などに入れておくとすぐにバレてしまうので、隠しておくことが多いのです。そして、その「たまり」は、脱税の有力な証拠ともなります。

収入が決まっているのに、それに見合わない多額の資産があるのは、脱税した証拠ではないか、ということです。

その後、マルサによる取り調べが長期間続き(平均すると6ヶ月程度でしょうか)、調書を取られ、刑事処分相当、ということになると、刑事告発されることになります。
【告発・起訴の目安】
以前は、刑事告発されるのは、脱税額が3年間で1億円以上というのが目安とされていたのですが、近年ではその額はどんどん下がってきています。

たとえば、今回の事件と同日付で報道されていた事案では、2年間で法人税約4600万円を脱税したとして、東京都八王子市の建設会社と社長が、法人税法違反の容疑で東京国税局から東京地検に告発されていたことがわかっています。

また、2011年には茨城県守谷市の金属売買・建築物解体会社の代表取締役と知人のホテル従業員が共謀して法人税約1104万円を脱税したとして逮捕されています。

なお、悪質性が高い場合は、もっと低くても告発されることがあり、不正還付を指導した人が、600万円の不正還付を指導した、として刑事告発された事例もあります。

税理士や脱税請負人などが絡んでいると、悪質事案として刑事告発されやすいです。

刑事告発されて起訴された場合、有罪率は極めて高いです。

東京国税局管内での第一審ですが、有罪率は、

平成25年度は100%
平成26年度は97.6%
平成27年度は100%

となっています。
【脱税事件での量刑事情】
脱税事件で刑事上、考慮される量刑の事情には以下の要素があります。
これらを総合的に判断し、刑の種類や程度が決められます。
ということは、私たち弁護士の関心事も以下にあり、量刑で有利になるように被告人を指導してゆくことになります。

①逋脱税額
②逋脱率
③逋脱の手段・方法
④逋脱の動機
⑤逋脱した資金の使途
⑥逋脱所得の取得原因
⑦罪証隠滅工作の有無および、その方法
⑧修正申告・納税状況
⑨経理体制の改善
⑩同種の前科・前歴
【罰金の目安】
罰金刑の場合、その額の目安は脱税額のおよそ10~30%が一般的です。

東京国税局管内で告発された脱税事件における第一審において、
平成25年度は、1件あたり犯則税額4600万円に対し、1人(社)あたり罰金額は1100万円ですから、23%
平成26年度は、1件あたり犯則税額4900万円に対し、1人(社)あたり罰金額は1200万円ですから、24%
平成27年度は、1件あたり犯則税額6400万円に対し、1人(社)あたり罰金額は1600万円ですから、25%

という結果になっています。
【課される税金】
本税のほかに、過少申告加算税などの各種加算税、延滞税、重加算税など多額の納税が科せられます。
本来支払うべき税金に、これら加算税等と罰金を加えると、もともとの脱税額の2倍を超える金額を追加で払わなければならないケースもあります。

さらに懲役も科せられるのですから、言葉は悪いですが、脱税は割に合わない行為であるということを経営者の方には今一度認識してほしいと思います。

もちろん、脱税は犯罪ですから、経営者の人たちには法律順守を第一に日々、経営に勤しんでいただきたいと思います。

社長は所得は隠してはいけません。

社長が隠していいのは「企業秘密」と「日々の善行」です。

最後に、ユダヤの格言です。
「金持ちをほめる者は、金持ちをほめているのではなく、金をほめているのである」

ちなみに、私は弁護士資格とともに、税理士資格も持っていますので、マルサの査察の相談や脱税の相談も多く受けております。

脱税で告発された時のご相談は、こちらから。
http://www.bengoshi-sos.com/zeimu/

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