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愛犬が隣人をかんで、損害賠償金が1,725万円!?

 >愛犬が隣人をかんで、損害賠償金が1,725万円!?

2013年10月16日




俳優の反町隆史さんと松嶋奈々子さん夫妻の愛犬が隣人をかんだ事件で、東京高裁が1,725万円の支払いを命じたようです。

2011年5月、反町夫妻が入居していた東京・渋谷区のマンションの通路で、夫妻の娘(当時6歳)が連れていたドーベルマンが住人の女性の脚にかみつきました。

女性は「もう住み続けられない」として退去を希望。管理会社は賃貸契約を解除。
反町夫妻と女性は示談が成立していたようですが、マンションの管理会社が、「住人が退去したため賃料収入を失った」として、5,220万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴し、1審判決では、385万円の支払いが命じられていました。

控訴審になり、賠償額が、1審判決の約4.5倍に跳ね上がったことになります。

ここでは、2つの法律問題が発生しています。

1つは、飼い犬が女性を咬んだことによる、女性に対する治療費や慰謝料などの損害賠償金です。この点は示談が成立し、完了しています。

今回問題になったのは、管理会社に対する経済的な損害賠償です。

女性を咬んだこと自体ではなく、女性を咬んだことにより、女性がそのマンションに住み続けられなくなり、それによって、その女性から本来得られるべきだった賃料を失った、という損害です。

さて、飼い犬が起こした問題に関しては、民法718条が適用されます。

1 動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りではない。
2 占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。

過去の判例では、1975(昭和50)年に大阪市西成区で起きた飼い犬(闘犬)が近所の幼児(当時3歳)をかみ殺した事件では、飼い主の被告に、約980万円の損害賠償金の支払いが命じられました。

また、1978(昭和53)年、茨城県水戸市で飼い犬の秋田犬が通行中の少女(当時5歳)をかみ殺した事件では、飼い主の被告に、約1460万円の支払いが命じられています。

今回の東京高裁の判決では、
「管理会社が定めていた、小動物以外の飼育を禁じた規定を反町夫妻が破り、住民の安全を守る注意義務に違反した」
という指摘がされ、損害賠償額の大幅増につながったようです。

ところで、江戸時代の元禄期の1687年に、後に「天下の悪法」とまでいわれた法令が制定されました。
「生類憐みの令」です。

江戸幕府第5代将軍・徳川綱吉が出したといわれるこの法令は、犬の殺生を禁じたものでした。
(実際は、犬だけでなく猫、鳥、昆虫、魚類、貝類、さらには幼児と老人にまでおよんだそうです)

初めは「殺生を慎め」という道徳的な精神論的な法令だったものが、いっこうに違反者が減らないために、厳罰化していき、魚釣りすらも禁止になってしまいました。

一般民衆からは大ブーイング。徳川幕府への不満が高まったようですが、当時の江戸市中には10万匹もの野犬がいて、市民が襲われることが多かったともいいます。

今では考えられないほど危険度が高い野犬被害に対して、幕府が野犬の収容施設を作り、治安維持を図っていたという説もあるようです。

ところで、今年の9月1日には、「改正動物愛護管理法」が施行されました。
ペットが死ぬまで飼い続ける責任が飼い主にあることが明記され、自治体が行う犬や猫の殺処分を減らす効果も見込まれています。

また、ペットの販売業者への規制も強化され、生後56日未満の販売を禁止することで、犬の吠え癖や、かみ癖を防ぐ効果も期待されています。

動物を飼うことは、生命への責任がともなうことを自覚して、大切な家族であるペットと最高の関係を深めていきたいものです。

あなたのペットは、大丈夫ですか?

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